iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

ミステリ関連

「笑うマトリョーシカ」若き官房長官は傀儡なのか?

初読みの作家、早見和真の「笑うマトリョーシカ」を読んだ。 今までにあまり読んだことのないジャンル(政治とジャーナリズム)の話だったが、とっつきにくいなんてこともなく一気に読んだ。 物語は若くして官房長官にまで上り詰めた「清家一郎」という男は…

「刑事何森孤高の相貌」なに森じゃなくいず森です!

初読みの作家、丸山正樹の「刑事何森孤高の相貌」を読んだ。 なにもり、ではなく、いずもりと読ませる孤高の刑事が活躍する連作短編ミステリ。 おふざけ要素なしハードボイルドな警察小説だ。 孤高すぎて、回を重ねるごとにどんどん降格されてゆく主人公。 …

「存在のすべてを」

塩田武士「存在のすべてを」を読んだ。骨太の良い作品だった。 「罪の声」がすごく良かったので期待をしていたが、前作に勝るリアリティで、 あーこれもまた映画化されちゃうんじゃない? さすが本屋大賞ノミネート! ちなみの罪の声はあの「グリコ森永事件…

「ルナティック・レトリーバー」伏線を回収しすぎるな!

真門浩平の「ルナティック・レトリーバー」を読んだ。第19回ミステリーズ!新人賞受賞作らしい。 なかなかしっかりしたミステリで面白かったのだが、なんでタイトルが「ルナティック・レトリーバー」なのかはちょっと分からなかった(かいてあったかな?) …

「とらんぷ譚」お耽美ブラックストーリー

中井英夫の「とらんぷ譚1. 幻想博物館」を読んだ。 中井英夫といえば日本三大奇書と言われている「虚無への供物」の作者だ。 30年くらい前に読んだことがある。 もはや、読んだことがあることしか覚えていなかったのでもしかしたら夢かもしれない。ただ、な…

「放課後はミステリーとともに」

お盆を過ぎて、少しは過ごしやすくなった、、、、と言いたいところだが、連日エアコン漬けの我が家だ。 必定、部屋のドアを閉めるので、猫が学習して人間と共連れして出入りするようになった。 まるで、マンションのセキュリティを突破するセールスマンのよ…

「悪い夏」死ぬほど暑い夏は悪い夏だ

横溝正史ミステリ大賞優秀賞受賞「悪い夏」を読んだ。 読後感は決して良くないのに、途中で読むのをやめられなくて一気だった。 佐々木守という、とっても人の良いというか真面目なだけが取り柄で彼女もいない、なんとなく公務員になって、運悪く生活保護の…

「情無連盟の殺人」まだこんなトリックの余地があったか!

タイトルに惹かれて浅ノ宮 遼、 眞庵の書いた「情無連盟の殺人」を読んだ。 読み終わって知ったのだが、二人組の医師によって書かれたミステリー おお。二人組のミステリ作家といえば古くはエラリー・クイーン、新しくは(いや新しくないか)岡嶋二人。二人…

「君に読ませたいミステリーがあるんだ」私は飲みたいビールがあるだ

東川篤哉の「君に読ませたいミステリがあるんだ」をよんだ。 相変わらずエンタメのかる~いノリながらしっかりトリックが仕込まれている。表紙のかわいいとあいまって高校生とかに読んでほしい一冊だ。 自称美少女の第2文芸部部長水崎アンナの作ったミステリ…

「鏡の国」

前から気になっていた岡崎琢磨の「鏡の国」を読んだ。 鏡の国 作者:岡崎 琢磨 PHP研究所 Amazon 作中作「鏡の国」というコロナ禍さなかに起こったほぼ真実の事件を元にした小説を、作者没後の西暦2060年に読みかえす。という凝ったミステリー 40年後の…

「もの言えぬ証人」

私の住む福岡では、登録した人にLINEでお知らせが送りつけられるのだが、最近は毎日熱中症警戒アラートが送りつけられてくる。 それがまあ、判で押したようにマックス振り切れた危険ゾーン(紫)で、赤や黄色を超えたってことらしいが逆に危機感が薄れる。 …

「有罪、とAIは告げた」ロボット裁判官ともちょっと違う。

中山七里の「有罪、とAIは告げた」を読んだ。 この作家さん、たくさん書いてるからたくさんオススメに上がってくるのよねー 有罪、とAIは告げた 作者:中山七里 小学館 Amazon 東京地方裁判所の新人裁判官・高遠寺円は、日々の業務に忙殺されていた。公判、…

「誰かが私を殺した」Audibleオリジナルは豪華ドラマ

東野圭吾の「誰かが私を殺した」を読んだ。 むむ?なんか類似のタイトルの本あったよね、と思って調べたよ。 ・・・1冊どころの騒ぎじゃなかった(爆笑) 「あなたが誰かを殺した」 「私が彼を殺した」 「どちらかが彼女を殺した」 2冊めにしてリンクを貼る…

「追憶のかけら」現代語版とは??

貫井徳郎の「追憶のかけら」現代語版を読んだ。 どういう事?古語版もあるの???とおもっていたら、最後の解説で謎が解明した。 この「追憶のかけら」は、作中作といって、小説のなかに小説がかかれているのだが、その「知る人ぞ知る小説家の手記」という…

「スモールワールズ」家族という単位の小さな世界達

先日「ツミでミック」で直木賞を受賞した一穂ミチの「スモールワールズ」を読んだ。 スモールワールズ (講談社文庫) 作者:一穂ミチ 講談社 Amazon 夫婦、親子、姉弟、先輩と後輩、知り合うはずのなかった他人ーー書下ろし掌編を加えた、七つの「小さな世界」…

「私の愛した余命探偵」いろんな探偵はいるけれど

長月天音の「私の愛した余命探偵」を読んだ。 いろんな探偵がいるが、行き着くところまで行った感はある。 突っ込む気満々で読んだけどやはり、人の生死を扱った話はイジりにくい。 私が愛した余命探偵 (小学館文庫) 作者:長月天音 小学館 Amazon その真実に…

「テロリストの家」エリート公安刑事のダメっぷり

中山七里の「テロリストの家」を読んだ。 すごく多作の作家さんだか初読み。 表紙がポップだったから軽いノリのドタバタサスペンスかと思ったら、意外と重厚感のあるベテラン公安警察官を主人公のストーリーだった。 主人公の俺は自分が一家の父親としてうま…

「噛む老人」なんか想像すると良くない

大和浩則の「噛む老人」を読んだ。 第17回ミステリーズ!新人賞受賞作らしく、それを聞いて読んでいるせいか、なんだか初々しい感じがしてよかった。ページ数も少なく、とても読みやい一冊。 最近ずっと万城目学の長編をよんでいるのでこのシンプルさが心地…

「変な家2」間取り図からそこまで!?

雨穴の変な家2を読んだ。 読んだ、というかaudibleで聞いた。 うーん、さすがに読み聞かせには向かない本かもしれないと思いつつオーディブルでもちゃんと付属資料として間取り図がたくさん着いているので大丈夫であった。 変な家2 ~11の間取り図~ 作者:雨…

「エッジウェア卿の死」犯人の最後の手紙が怖い

アガサ・クリスティーの「エッジウェア卿の死」を読んだ。 相変わらずポアロがいい仕事をします。 それにしても今回のポアロはちょっとエキセントリックだったなぁ なんか、ルー大柴ばりに外国語叫んでいて、ちょっと奇矯な振る舞いを感じた。 ヘイスティン…

「リンダを殺した犯人は」軽い口あたりで重いテーマ

伊兼源太郎の「リンダを殺した犯人は」を読んだ。 警察官バティものだけど、ちょっと珍しいところは女性が上長なのところ。 初読みの作者さんだけど、なんとなく予想通りの軽さというか読み応え。失礼か? この本、タイトルでちょっと損している気かする。 …

「メゾンド・ポリス」退職刑事のシェアハウス

加藤実秋の「メゾンド・ポリス」退職刑事のシェアハウスを読んだ。 メゾン・ド・ポリス 退職刑事のシェアハウス (角川文庫) 作者:加藤 実秋 KADOKAWA Amazon 柳町北署の新人刑事・牧野ひよりは、念願かなって刑事になったものの、仕事はお茶汲みやコピー取り…

「パンとペンの事件簿」歴史も学べるAudibleオリジナル作品

柳広司の「パンとペンの事件簿」を読んだ。 パンとペンの事件簿 作者:柳 広司 Audible Amazon 1910年、刑期を終えて出獄した堺利彦が、ある団体の設立を宣言する。その名も「売文社」。無実の罪で極悪人と謗られ、まともな職に就くことができない社会主義者…

「告白の余白」

下村敦史の「告白の余白」を読んだ。 告白の余白 (幻冬舎文庫) 作者:下村 敦史 幻冬舎 Amazon 高知で農家を手伝う北嶋英二の双子の兄が自殺した。「農地を祇園京福堂の清水京子に譲る」と書かれた遺書を持ち英二は京子を訪ねるが、彼を兄と間違い〝失踪した…

「犯罪者」三部作シリース第一巻

太田愛の「犯罪者」を読んだ。 犯罪者【上下 合本版】 (角川文庫) 作者:太田 愛 KADOKAWA Amazon (上巻)白昼の駅前広場で4人が刺殺される通り魔事件が発生。犯人は逮捕されたが、ただひとり助かった青年・修司は搬送先の病院で奇妙な男から「逃げろ。あと…

「リバース」人生は巻き戻せない

湊かなえも「リバース」を読んだ。 リバース (講談社文庫) 作者:湊かなえ 講談社 Amazon 深瀬和久は平凡なサラリーマン。唯一の趣味は、美味しいコーヒーを淹れる事だ。そんな深瀬が自宅以外でリラックスできる場所といえば、自宅近所にあるクローバーコーヒ…

「帝国妖人伝」犯人当てならぬ探偵あて

伊吹亜門の「帝国妖人伝」を読んだ。 帝国妖人伝 作者:伊吹亜門 小学館 Amazon 時は明治、那珂川二坊は文学で名をなさんとす。尾崎紅葉に師事すれど執筆がかなうのは小説どころか三文記事ばかり。この日も簡易食堂に足を運び、ネタを探して与太話に耳を傾け…

「シャーリー・ホームズ」女性版シャーロック・ホームズ

高殿円のシャーリーホームズシリーズ1.2を読んだ。(現在3巻まででている模様) 初めて読んだ作者。 シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱 作者:高殿 円 早川書房 Amazon シャーリー・ホームズとバスカヴィル家の狗 (ハヤカワ文庫JA) 作者:高殿 円 早川書房 Ama…

「放課後ミステリクラブ」コナン君よりは大きい

知念実希人の放課後ミステリクラブ1~3を読んだ。 放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件 作者:知念実希人 ライツ社 Amazon 放課後ミステリクラブ 2雪のミステリーサークル事件 作者:知念実希人 ライツ社 Amazon 放課後ミステリクラブ 3 動くカメ…

「葬儀を終えて」さすが女王のミステリー

アガサ・クリスティの「葬儀を終えて」を読んだ 葬儀を終えて (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫) 作者:アガサ・クリスティー 早川書房 Amazon リチャードは殺されたんじゃなかったの――アバネシー家の当主リチャードの葬儀が終わり、その遺言公開の席上、末の…