佐伯つばさの「ようこそ瑕疵ある世界へ」を読んだ。
“瑕疵”——この一文字でピンとくる人は、たぶん怪談好きだろう。
そう、事故物件などでおなじみの「心理的瑕疵物件」の“瑕疵”である。
タイトルからして、ただのミステリーではなさそうな雰囲気がぷんぷん漂っている。
主人公の名前は作者本人と同じ「佐伯つばさ」。なるほどこれは、有栖川有栖スタイル。
しかも登場人物には大学教授が出てくるし、作者自身が心理学の先生だというから、これはもうモデルとおりこして実話なのかもしれない。
「ようこそ瑕疵ある世界へ」は、怪談とミステリー、そして心理学という三つの要素が絶妙に絡み合った短編集だ。
レビューでは高評価が目立つのもうなずける。
ミステリー好きの「真相が知りたい!」という欲求と、怪談好きの「すべては解き明かされなくてもいい」という余韻重視の姿勢。この二つが、まさかこんなにうまく融合するとは。
特に面白かったのは、「都市ガールズ」というコンビの登場。これは明らかにYouTube界の怪談コンビ「都市ボーイズ」のパロディ……かと思いきや、あとがきによると本人たちの許可を得た“友情出演”とのこと。これは怪談ファンにとってはちょっとしたサプライズである。
登場人物は、佐伯教授とそのゼミに所属する先輩・後輩の学生たちの三人組。彼らが語り手となる連作短編集形式で進んでいく。女性の先輩キャラと安易にイチャイチャさせない距離感も好印象だった。
個人的に最も印象に残ったのは、人を死に追いやる青年の話。
人当たりのよい好青年が語るに落ちる瞬間。最後に明かされた“ある背景”にゾッとした。ベースにあるのは心理的な駆け引きで、それが恐怖を何倍にも増幅させてくる。
「ようこそ瑕疵ある世界へ」は、ミステリーとしての構造を持ちながらも、読後感はまるで怪談を聞いたあとのようなぽかんとホオリ出されるような余韻が残る。
一気読み推奨の、おすすめ作品である。
ちなみに、この作者がきになりすぎてついつい検索。
どうやら、心理学の先生かつ怪談師としても活躍中のようだ。
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謎の怪奇事件に巻き込まれる学生たち。
変わり者の心理士が真相に迫る「臨床心理学×ホラーミステリー」――僕、怪異譚は好きだけど、
臨床の現場に出ているときはすべてを信じないよ。
なんとしてでも理屈をつける。
科学に基づかない医療は危険でしかないからね。星森大学心理学部臨床心理学科の教員、佐伯翼。
趣味で怪談を蒐集する変わり者。
佐伯ゼミの学生である多度結良と沖山修一が、
謎に満ちた怪異事件に次々と巻き込まれ……。
心理学の知識とカウンセラーの観察眼で、不可思議な事件の謎を看破する。結良はボランティアで参加した施設で「山で幽霊を見た」という
女子高生と出会う。女子高生の心の傷、
そして“幽霊”の正体とは?(――秘密)「毎晩この部屋で亡くなったおばあさんが現れる」と怯え、
引きこもりになっている大学生。
“心理的瑕疵物件”であるその部屋には
すべてを覆す「嘘」が隠されていた。(――優しい嘘)7つの連作短編、
そして最後に明かされる恐怖とは――。現役の大学教員であり、怪談蒐集家が描く
臨床心理学×ホラーミステリー、ここに開幕!