iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記」

安野貴博の「松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記」を読んだ。 いわゆるお仕事小説と言われるものだが、作者はSF作家でもあるらしく、AIを使った起業スタートアップの中身がまず近未来感たっぷり。 なんの取り柄もないように見える女子大生まどか…

「クリスマス・プディングの冒険」ポアロもマープルも楽しめる一冊

アガサ・クリスティーの「クリスマス•プディング」の冒険を読んだ。 英国のクリスマスの情景が楽しい。 表題作だけではなく、いくつかの短編が収められている。 収録されている短編 クリスマス・プディングの冒険 外国の王子が奪われたルビーを取り戻してほ…

50歳からはこんなふうに

松浦弥太郎の「50歳からはこんなふうに」を読んだ。 なんだかオシャレなイメージのあるこの人、暮しの手帖「素敵なあなたに」の編集長のイメージが強いけど、今はもうその仕事はしておらずクックパッド!?に転職しているらしい。 彼は説く、50歳をすぎたら…

「しっぽのから破り」息をするようにコントを

福留秀介のしっぽの殻破りを読んだ。 このひとは、お笑い芸人のジャルジャルの人だ。あの、独特なコントをやっている二人かー詳しくないのでどっちかはわからないが。 さらに調べたら、ジャルジャルは毎日コント動画を上げて6000本のネタを持つらしい。 そし…

「正義の行方」は藪の中

木寺一孝の「正義の行方」を読んだ。 30年前に起こった「飯塚事件」の真相に迫るノンフィクションだ。読んでいて衝撃で何度か声が出てしまった。 限りなく冤罪と思われる久間さんが、すでに死刑執行されている後味の悪い事件だ。 小学生一年生の女の子2人が…

「闇祓」闇ハラスメント

辻村深月の闇祓を読んだ。 面白かったーーー! 人との距離感の測り方が分からないのか、転校生の白石要は最初たいそうな描かれ方をしている。 それが最終章ではとてもかっこよく描かれている。 家族を入れ替えながら闇を振りまいていく神原家。 イッキ読みが…

さよなら妖精

米澤穂信の「さよなら妖精」を読んだ。 太刀洗万智シリーズの一冊目らしい。(そんなシリーズがあったのね・・・)大刀洗シリーズだが、彼女は本作では十分な存在感を示すも主人公ではない。主人公は外国から来た不思議な少女と、雨の中で彼女を助けることに…

「ボッコちゃん」描いてみた

星新一の「ボッコちゃん」をAudibleで聴いた。 星新一の本の中でも特に短めのショート・ショートが集められた一冊。 そうそう、こんな話だった!と言いたくなる懐かしい世界観。 古びることもなく、楽しませてもらった。流石だわー しかも今回はAudibleなの…

「白砂」墓に入るって大変なのね

鏑木蓮の白砂を読んだ。 初読みの作家さんなので、この表紙と落ち着きのあるタイトルから固めの犯罪小説かな?と手に取った。 が、最近全く勘の当たらない私である。 ポンポンやり取りする刑事コンビの軽妙な会話が心地よい。 とくに、ベテラン刑事の大学に…

「四畳半神話大系」並行世界でもやっぱりな俺たち

森見登美彦の「四畳半神話大系」を読んだ。 読んだことあると思っていたが、既読なのは「四畳半タイムマシンブルース」の方だったみたい。 おやおや、こうやってすべての小説は私の脳には染み込まず流れ過ぎてゆくだけなのかも知れないね。(他人ごとっぽく…

「こわい本」来年の年賀状にいかがだろうか

楳図かずおの「こわい本 蛇」を読んだ。 角川ホラー文庫として、集大成ともいえる全10巻が発行されたのはつい最近な気がしていたが2021年とのこと。 本屋でも山積みされていたので気になっていた人も多いハズ。 私も先日の訃報を聞いて再読した。 人間…

「マッチング」悪意の塊とマッチングしちゃうこともある

初読みの作家、内田英治の「マッチング」を読んだ。 どうやら本職は映画監督らしく、草薙くんが主演した映画「MIDNIGHT SWAN」などのメガホンをとっている人だそうだ。 今回読んだ「マッチング」も何なら今年上映されたばかりだそう。 (そして現在はアマゾ…

「神と王」王が神になれば良いのか?

浅葉なつの「神と王」を読んだ。 初読みの作家さんだが、表紙のかっこよさと「古事記にインスピレーションを得て」というキーワードに引かれて読んでみた。 壮大なタイトルに負けぬファンタジー小説だった。 あまりファンタジーを読まない質なのでのめり込む…

「ボロ家の春秋」要するに仲良しなの?

梅崎春生の「ボロ家の春秋」を読んだ。 第32回直木賞を受賞たこの小説は1954年発表なので、かれこれ70年!も前の小説だ。 ある夫婦に騙されて互いに見知らぬ二人の男が奇妙な共同生活を送る様子を描いているのだが、仲良くないというか、むしろ憎みあっさえ…

「警視庁監察官Q 」和菓子に詳しくなれる

鈴峯紅也の「警視庁監察官Q 」を読んだ。 アイスクイーンと呼ばれるキャリア監察官「小田垣観月」のスーパーウーマンプリを堪能する小説。 幼いころの事故により、超記憶能力を手に入れた観月。ただし、引き換えにすべての感情を失ってしまう。 笑わなければ…

「ナポレオン狂」これぞブラック

阿刀田高の「ナポレオン狂」を読んだ。 久しぶりだ。ついついこの方は・・・と調べてしまう。御歳89歳とのと事。 高校大学と一番乱読していた頃の作者がどんどん星になる昨今、やっぱりご存命だと嬉しいものだ。 さて、このナポレオン狂は1979年の直木賞受賞…

「実は、拙者は。」影の薄さも1つの才能

白蔵 盈太の「実は、拙者は。」を読んだ 初読みの作家さんだが、楽しい読書だった。 八五郎は目立たないことが唯一の取り柄の町人。 目立たないというか、影が薄すぎて剣の達人ですら尾行に気づかないほどだ。 あまりにも目立たないため、そんなつもりもない…

「民王」漢字が読めなくても正しいことがわかってれば良い!

池井戸潤の民王を読んだ。 ドラマをチラチラ見てたので、読みながら脳内キャストは遠藤憲一と菅田将暉だ。 あらすじを言うと、「俺があいつであいつが俺で」の物語。総理大臣の父親と大学生の息子の心が入れ替わってしまうのだ。 しかも、これは計画的なテロ…

「恋文の技術」を磨いて恋文どっとこむを起業しよう!

森見登美彦の「恋文の技術」を読んだ。 京都から石川県の水産試験所にやってきた大学院生の守田くんが、どんな女性もメロメロになる恋文を書けるようになるため「文通武者修行」と称してたくさん手紙を書く、往復ではなく片道書簡文学。 はたして恋文の技術…

「踏切と少女」こわいっちゃ怖いが淡白すぎる

「むかしむかしあるところに死体がありました」で有名な青柳碧人の「踏切と少女 怪談青柳屋敷別館」を読んだ。 別館というからには本館もある。 どちらも実話系怪談のコレクション格納倉としての意味合いで「青柳屋敷」と銘打たれているらしい。 正直タイト…

「クリスマスのポアロ」今年のクリスマスはブラッディ

アガサクリスティのクリスマスのポアロを読んだ。 のっけから 親戚のおじさんに「最近君の作品ってちょっとお上品すぎるんじゃない?」と言われたのでたっぷり血を撒いています。 というクリスティ断りが入っていて笑ってしまった。 この作品はクリスティの…

「章魚木の下で」たこのきのしたで

中島敦の章魚木の下でを読んだ。 タコの木?と思っていたが、本日解決したのでとっても短い本だけどレビューします。 そもそもタコノキという種類の植物があるらしく、今日道端で遭遇した珍しい木を友達のグーグルレンズで調べたらビヨウタコノキと出た。 ビ…

Audible3か月99円キャンペーン

私が依存しまくっているサブスクAudibleがなんと3ヶ月99円ですって!!! これね、本読み全員におすすめしたいと思っていたんですよ。 正規の金額になっても1500円だし。 最近単行本高いから1500円って一冊買えるかどうかの金額じゃない? それで、20万冊聴…

「リカバリー・カバヒコ」カバだけにね

『赤と青とエスキース』の青山美智子が書いた「リカバリー・カバヒコ」を読んだ。 本屋大賞にノミネートされた作品。 新築マンションの近くに、昔からある日の出公園。 そこにあるアニマルライド「カバのカバヒコ」には不思議な力があると言い伝えられていた…

「いちいち幸せになる本」能天気でもいいじゃない。

キャメロン竹田の「いちいち幸せになる本」を読んだ。 実は全然この「キャメロン竹田」のことを存じ上げなくて、なんとなくカレー沢薫っぽい、おもしろ毒舌エッセイを期待して選んだのだが、実際は有名占い師による能天気エッセイだった。我ながら最近の勘の…

「いっぺんさん」読むと幸せになるホラー

花まんまで直木賞を受賞した朱川湊人の「いっぺんさん」を読んだ。 タイトル作を含む、ノスタルジックな雰囲気のホラー短編集。 タイトル作「いっぺんさん」は一回だけならどんな願いでも叶えてくれる神様の話。 主人公は小学生のころ親友しーちゃんとこの神…

「李さん一家」ちゃんとしなくても大丈夫

つげ義春の「李さん一家/海辺の情景」を読んだ。 なにかの本かネットの情報かはすっかり忘れてしまったけれど、誰かがこの「李さん一家」のことに言及していてずっと読みたかったのだ。 李さん一家を含むつげ義春の短編集。 つげ義春といえば「ねじ式」のあ…

「春期限定いちごタルト事件」小市民は目指してなるものじゃない気がする

米澤穂信らしい、軽やかさの中にしんねりむっつりしたものが垣間見えるミステリー あらすじで、コミカル探偵物語とあるが、これコミカルなのかなー? 自意識が肥大したこの時期特有の痛々しさが少々苦しいのは私の心が汚いからか? あ、わかった。自分(私)…

「警視庁公安捜査官 スパイハンターの知られざるリアル」

勝丸円覚というかっこいい名前の元公安警察官が書いた「警視庁公安捜査官 スパイハンターの知られざるリアル」を読んだ。 どうやら、昨年の話題のドラマ「VIVANT」の公安側アドバイザーだったらしく、今は元公安としてスパイの恐ろしさなどを伝える活動をし…

「禁じられた遊び」思ったよりノスタルジックではない

清水カルマの「禁じられた遊び」を読んだ。 初読みの作家さんだ。 タイトルから勝手にノスタルジックなイヤミスかと思っていたが、おもったよりグロテスクなホラーだった。 身も蓋もない感想で申し訳ない。 主人公の直人の美しいがエキセントリックなところ…