ミステリ関連
櫻田智也の『六色の蛹』を読んだ。 去年の「このミステリーがすごい!」第10位にランクインしたこの本、タイトルの意味がとっつきにくく感じて後回しにしていた。(もちろん、読み終わった今ではこのタイトルこそがしっくりくるのだけれど!) 本作に登場す…
有栖川有栖の「日本扇の謎」を読んだ。 国名シリースの新作では、火村と有栖コンビが新たな事件に挑む様子が描かれている。 今回も安定のバディが事件を解決! この二人は歳を取らなくていいなぁ。読者は気がつけば二人の年齢を追い越してしまいぼやぼやして…
深水 黎一郎 の「ミステリー・アリーナ」を読んだ。 こんな傑作をいままで一切アンテナに引っ掛けていたかったことをまず反省。 2016年のこのミステリーがすごいにもランクインしているし、世間はちゃんと認知していたらしい。 だよね!これ読んだら誰かにす…
碧野 圭の「菜の花食堂のささやかな事件簿」を読んだ。 初読みの作家さんだ。 菜の花食堂を切り盛りする先生こと靖子さんが、月に2回だけ開く「料理教室」に来る生徒たちの小さな日常の謎を解き明かす。 職場のいじめにより会社をやめて、ボロボロの生活をし…
青柳 碧人の「赤ずきん、アラビアンナイトで死体と出会う。」を読んだ。 赤ずきんが探偵役として活躍する楽しいミステリー。 空飛ぶ絨毯やランプの魔神などファンタジックな世界観の中にありながら、しっかりとした謎解きが展開されていて、読み応えがある。…
米澤穂信のの「夏限定トロピカルパフェ事件」を読んだ。 甘い感じのタイトルに反して、わりとシリアスな物語。 春限定いちごタルト事件のときののどかさに比べてしっかり刑事事件が絡んできている。 最初の話こそ小佐内さんより1つ多くケーキを食べちゃった…
五条 紀夫 の「私はチクワに殺されます」を読んだ。 「前代未聞のチクワサスペンス」と銘打たれたこの物語は、序盤こそ荒唐無稽なホラー(というよりホラ話)かと思いきや中盤でミステリ要素が加わり、最後には再びホラーに戻るという不思議な構成の作品だっ…
下村 敦史の「全員犯人、だけど被害者、しかも探偵」を読んだ。 そんなことありえない!と思ったけど、 なるほど、かなりアクロバチックだけどもこうすればありうるのか。 ただし、前提というのがかなり危ういので、これ、本当にみんな信じてしまってるのか…
有栖川有栖の「カナダ金貨の謎」を読んだ。 記念すべき国名シリーズ第10弾とのことで、本家エラリークインを超えたそうな。 (実は本家はまだ読んだことがない) 表題作「カナダ金貨の謎」を含む、火村英生と有栖川有栖が登場する中短編が5つ収録されていい…
夕木春央 の「十戒」を読了。 納得の読後感!こんなトリックを考え出すなんて本当にすごいなぁと思う。 物語の舞台は、孤島。そこに集められた初対面(のはずの)人々。そして、彼らに与えられた「十戒」。 ・犯人を探してはいけない ・助けを呼んではならな…
浅倉 秋成の「家族解散まで千キロメートル」を読んだ。 ロードムービーみたいですね。 登場人物の一人が言っていたけど、前半は確かにそんな感じ。 謎とスリルがあり、タイムリミットに向けて車をどんどん飛ばしていくさまは爽快感がある。 しかし、ゴール(…
伴田音の『彼女が遺したミステリ』を読んだ。 号泣必至のミステリーとあったが、どちらかというと微笑ましい終わり方だったなぁ。 物語は、病気で亡くなった婚約者の一花が遺した謎解きゲームを解くことで、悲しみから再生する僕の話。 これから結婚しようと…
有栖川有栖の「インド倶楽部の謎」を読んだ。 国名シリーズ9作目で、久しぶりの長編ミステリーだ。 今回は初めてAudibleの読み上げで聞いたのだが、火村の声がイメージと違ってちょっと残念。(私の中では完全にドラマで主演した斎藤工のイメージなので、な…
呉勝浩の「法廷占拠 爆弾2」を読んだ。 前作の「爆弾」で私を震撼させた「スズキタゴサク」の再臨である。 前回もスズキタゴサクの異様さに「妖怪感」と書いていたが、それでも最後はそんなに悪くない終わり方?と思っていたが、今回はスズキタゴサクが更に…
翔田 寛の「真犯人」を読んだ。 今まで全然私のアンテナに引っかかってこなかったのが悔しい。 こういう警察小説が読みたかったんだよ。一つの誘拐殺人事件を、時を経て3回も捜査をする事になった警察官たちの焦燥が見事に書かれている。 一度目は、誘拐事件…
石川智健の「20 誤判対策室」を読んだ。 全然話題になってない(あ、私の狭い界隈で申し訳ないけど)にも関わらず、すごく面白かった。もっと取り上げられても良さそうなのに。久しぶりの一気読み。 誤判対策室とは、冤罪を再捜査する架空の組織。元ベテラン…
黒川博行の「騙る」を読んだ。 表紙の絵を見ると時代小説かと思ったが、高尚なアートの世界にすくう仄暗い部分、詐欺スレスレの世界に身を置く美術雑誌の編集者佐保を軸とした連作ミステリー どうしてこの和服の美人が表紙に描かれているのかは謎だ。(そん…
初読みの作家、一雫ライオンの「二人の嘘」をよんだ。 美しく聡明な女性判事が自分が判決を下した男に恋をしてしまうストーリー いわゆる桁違いのスペックを持つ「礼子」は、完璧な人間であった。 なぜなら幼い頃彼女を捨てた母親の残した最後の言葉が「私、…
初日の出を拝みに近所の山へ登る。 今年の太陽始め 無事下山して、今更換気扇の油汚れを落とそうとして断念、その後年賀状を書き、あんこ食べたいのであんこ炊いて実家へ。 正月の方がよっぽど勤勉なのである。 さて、正月の一冊め、降田天の少女マクベスを…
本格ミステリ大賞、日本推理作家協会賞、山本周五郎賞を受賞し、ミステリが読みたい!のランキング1位をとった、青崎有吾の「地雷グリコ」を読んだ。 大きめのカーディガンをゆるく着こなす女子高生「いもりや」が、数々の頭脳戦ゲームで敵をくだしていく話…
年末恒例おたのしみ「このミステリーがすごい 2025」を手に入れた。 もうこれは、しめ縄みたいなもんで買わないとスッキリしないだけかもしれない。 今年の表紙はピンクの「推しの子」仕様。 そう言えば推しの子も形を買えたミステリーだよなぁ。転生して自…
柳川一の「三人書房」を読んだ。 若き日の江戸川乱歩がいくつかの謎を解き明かす連作ミステリー短編だ。 乱歩が弟二人といっしょに団子坂で「三人書房」という古本屋を営んでいるという設定。 最初は、乱歩の親友の井上くんの視点から語られる乱歩、その次は…
アガサ・クリスティーの「クリスマス•プディング」の冒険を読んだ。 英国のクリスマスの情景が楽しい。 表題作だけではなく、いくつかの短編が収められている。 収録されている短編 クリスマス・プディングの冒険 外国の王子が奪われたルビーを取り戻してほ…
辻村深月の闇祓を読んだ。 面白かったーーー! 人との距離感の測り方が分からないのか、転校生の白石要は最初たいそうな描かれ方をしている。 それが最終章ではとてもかっこよく描かれている。 家族を入れ替えながら闇を振りまいていく神原家。 イッキ読みが…
鏑木蓮の白砂を読んだ。 初読みの作家さんなので、この表紙と落ち着きのあるタイトルから固めの犯罪小説かな?と手に取った。 が、最近全く勘の当たらない私である。 ポンポンやり取りする刑事コンビの軽妙な会話が心地よい。 とくに、ベテラン刑事の大学に…
鈴峯紅也の「警視庁監察官Q 」を読んだ。 アイスクイーンと呼ばれるキャリア監察官「小田垣観月」のスーパーウーマンプリを堪能する小説。 幼いころの事故により、超記憶能力を手に入れた観月。ただし、引き換えにすべての感情を失ってしまう。 笑わなければ…
阿刀田高の「ナポレオン狂」を読んだ。 久しぶりだ。ついついこの方は・・・と調べてしまう。御歳89歳とのと事。 高校大学と一番乱読していた頃の作者がどんどん星になる昨今、やっぱりご存命だと嬉しいものだ。 さて、このナポレオン狂は1979年の直木賞受賞…
米澤穂信らしい、軽やかさの中にしんねりむっつりしたものが垣間見えるミステリー あらすじで、コミカル探偵物語とあるが、これコミカルなのかなー? 自意識が肥大したこの時期特有の痛々しさが少々苦しいのは私の心が汚いからか? あ、わかった。自分(私)…
湊かなえの「サファイア」を読んだ。 全ての宝石の名前がついた短編集だった。 例えば「真珠」という短編はこうただ。 たぬき顔のおばさんに会いに行く男の話。 昔モテていたのよ、と言い張るおばさんはどこにもてる要素が見出せず、ただ歯だけは真珠のよう…
相場英雄の「心眼」を読んだ。 見当たり班という警察組織に配属された若い警官が、スタンドプレーをするベテラン刑事にあこがれて彼の手法を真似しようと躍起になる成長物語。 警察組織内のしがらみもあって、ミステリーというよりは警察物語という感じ。 最…