城平京の「虚構推理」を読んだ。
「都市伝説✕ミステリー」という紹介文を『このミステリーがすごい!2026年版』で見かけて手に取ったのだが、これが思いのほかの当たりだった。アニメっぽい表紙に惑わされて今までスルーしていたことを悔やむほど、自分好みの一冊だった。
まず、神や妖怪といった存在が実在する世界観が心をくすぐる。民俗学的な土台がありつつ、その上で破綻のないミステリーとして成立しているというバランスの良さ。こういうジャンルが大好物な人間にはたまらない設定である。
ヒロイン・岩永琴子は、幼い頃に妖怪たちに攫われ、片目と片足を代償に「知恵の神」としての異能を授かる。その背景だけでも重厚だが、見た目は良家の子女風、しかし口を開けば少々下品で押せ押せなキャラというギャップが絶妙。どことなく「高槻彰良の推察」の世界観を彷彿とさせる部分もあるが、琴子のキャラはそれ以上に振り切っていて、クセになる。
そして、もうひとりのキーパーソン・九郎先輩。未来を予知して死ぬと言われる妖怪「件(くだん)」と、不死になるという人魚の肉を食べてしまった彼は、妖怪たちにさえ恐れられる存在となっている。そんな彼と琴子が挑むのが、「ネットの意識の集合体」によって生まれてしまった都市伝説の化身「鋼人七瀬」との戦いである。
この「虚構推理」という物語が面白いのは、事件の謎を事実から解き明かすのではなく、「虚構」で対抗するという点だ。掲示板上で都市伝説の仕掛け人と繰り広げるのは、いかにして人々に「もっともらしいウソ」を信じ込ませるかという頭脳戦。事実よりも納得感のある「嘘」が真実になるという構図が、現代社会の情報リテラシーを皮肉っているようにも思える。
このアプローチ、どこか「京極堂」シリーズを思わせる。もちろん雰囲気はだいぶ異なるのだが、怪異を論理で解体するという構造には通じるものがある。
型破りで、でも論理的。キャラ小説っぽいのにしっかり本格ミステリー。この振れ幅の大きさが「虚構推理」の魅力だ。
検索するとアニメも漫画も大ヒットらしくたくさん上がってくる。
これはシリーズ全部読まねばだわ。ありがとう、このミス!
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巨大な鉄骨を手に街を徘徊するアイドルの都市伝説、鋼人七瀬。
人の身ながら、妖怪からもめ事の仲裁や解決を頼まれる『知恵の神』となった岩永琴子と、とある妖怪の肉を食べたことにより、異能の力を手に入れた大学院生の九郎が、この怪異に立ち向かう。その方法とは、合理的な虚構の推理で都市伝説を滅する荒技で!?
驚きたければこれを読め――本格ミステリ大賞受賞の傑作推理!終始ゾクゾクしっぱなし……息もつかせぬ物語とはまさにこのことだと思います。意外な展開、予想外な事実、桁外れな人物、奇妙な現実、異様な虚構、奇想天外な“戦い”――。絶妙に狙い澄まして放たれる数々の“驚き”の奔流に溺れそうになりましたが、エラ呼吸を会得することでどうにか事なきを得ました。
のちの半魚人である(←新しい都市伝説)。
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