原田ひ香 の「一橋桐子(76)の犯罪日記」を読んだ。
いやー、老人になるのが怖くなる本。
(おそらく、歳を取るのもそんなに悪くないよね、と伝えたいのだとは思うが・・・いやいや、これはもう、笑えない。
超がつくほどいい人そうな桐子(76)は、同居をしていた友達と死別したばかり。
二人出払っていた家賃が一人になると払えないので、引っ越しをするのだが・・・・
礼儀正しく、やさしく、真面目に生きてきた彼女が、「刑務所に入りたい」と真顔で言うのである。寝食が保証され、病気になれば介護してもらえるからと。
「無敵の人」という言葉がある。社会との接点を失い、絶望した末に犯罪に走る人たちを指す言葉だ。桐子さんはそれに近い。
こんなにも高齢者って弱者なんだなぁ。十年後、二十年後、今日食べるご飯を心配しないといけないようになるとは、桐子さんもきっと思ってなかったと思う。
怖いわー
実は、桐子さんが初めて万引きをしてしまうシーンでは切なすぎるので聞くのをやめようかと思った。このまま、捕まって店の人にひどいことを言われたり、逆に万引きが成功して店からでたとして、また万引きをするようになっても、どちらもとてもイヤーな気になるからだ。
だが、実際はベテランの万引きGメンに捕まって、説諭される。その人が親身に桐子さんを心配してくれたりするのであまり嫌な気分にはならない。よかった。
刑務所に入るためにいろいろな犯罪を画策するも、生来の人のよさからどれも失敗に終わる桐子さん。
ラストシーンでは、周りの人たちがみな手を差し伸べてくれて、良い感じに終わっているが、本来であれば社会のセイフティネットで救うべき人たちである。
強さの象徴の言葉であるはずなのに、弱過ぎて「無敵」の人たちが生まれてしまうのは、現役世代の私達にその余力と、心の余裕がないことが問題なのかもしれない。
松坂慶子さん主演でドラマ化しているらしい。
79歳になった続編も刊行。とりあえず桐子さんは元気そうで良かった。
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老親の面倒を見てきた桐子は、気づけば結婚せず、76歳になっていた。両親をおくり、年金と清掃のパートで細々と暮らしているが貯金はない。このままだと孤独死して人に迷惑をかけてしまう。絶望していたある日、テレビを見ていたら、高齢受刑者が刑務所で介護されている姿が目に飛び込んできた。これだ! 光明を見出した桐子は「長く刑務所に入っていられる犯罪」を模索し始める。
次に読みたい本
無敵の人の怖さを改めて思い知らされる一冊といえば「爆弾」
初めて読んだ時は衝撃的でした。映画化されるみたいで期待している。
予告編見てきた・・・佐藤二朗がすごすぎる。
