iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

2024-01-01から1年間の記事一覧

「プロジェクト・ヘイル・メアリー」胸が熱くなるSF

アンディウィアーの「プロジェクト・ヘイル・メアリー」を読んだ。 Audibleでリリースされたときから目をつけていたのだが、上下巻(そう読み上げ時間が20時間超え)に恐れをなして躊躇していた。 ちなみに、Audibleでは読み上げ時間が10時間を超えるとファ…

Audibleで聞ける小泉八雲三選

今日は満月。中秋の名月は昨日だが満月は今日らしい。 残念ながら雲に隠れて見えないが、この季節の月はチーズのように黄色のはなぜだろう。 今日は趣向を変えて読み聞かせてもらえる怪談の魅力を伝えたい。 茶碗の中 ナレーター:鬼城院護 強そうな名前のナ…

「きのうの影踏み」ホラーとファンタジーの境界線

辻村深月の「きのうの影踏み」を読んだ。 実話系怪談風創作ファンタジー?で読みやすかった。 全部の話ではないけれど、作中で、辻村さん本人が登場し、妊娠出産そしてこどもが幼稚園へ入った話などが語られていて、実話っぽさが強調される。 特に、夜中に目…

「笑うマトリョーシカ」若き官房長官は傀儡なのか?

初読みの作家、早見和真の「笑うマトリョーシカ」を読んだ。 今までにあまり読んだことのないジャンル(政治とジャーナリズム)の話だったが、とっつきにくいなんてこともなく一気に読んだ。 物語は若くして官房長官にまで上り詰めた「清家一郎」という男は…

「夫婦善哉」夫婦って本人達にしか分からん

織田作之助の「夫婦善哉(めおとぜんざい)」を読んだ。 織田作之助、名前だけは知っていた(文ストで)が初めて読んだ。そして、本当にお恥ずかしいことに「ふうふぜんざい」と読んでいた。 途中、このタイトルの意味はなんだろうねぇ、善哉って私達が食べ…

「わたしは孤独な星のように」本人朗読で光る作品

池澤春菜の「わたしは孤独な星のように」を読んだ。 前から、「池澤夏樹の娘」で「SFクラブの会長」で「声優」となんだか才気の塊みたいな人やなと思っていたが、実際にこの人が書いた本を読むのは初めて。 アマゾンでもタイトルリストがでていなかったので…

「魂婚心中」SFなんだ!?

芦沢央の「魂婚心中」を読んだ。 まさかのSFだった。いや、(イヤ)ミステリー作家の印象が強かったからさ・・・ 本人もあとがきで「私がSF書いていいんですか」と書いていたけど、ちゃんとSFだったし、スリリングな展開はさすがという感じ。 SFと言っても宇…

「団地のふたり」令和の中の昭和のオアシス

なんともいえぬほんわかした話で、ある意味理想郷を描いた作品。藤野千代の「団地のふたり」を読んだ。 「団地のふたり」の二人は、ジャスト団塊ジュニアで私も同世代。 最初から最後まで事件らしい事件もなく(あるとすれば5日で仲直りする喧嘩くらいか)仲…

「一生頭がよくなり続ける もっとすごい脳の使い方」よく寝て動け!

一万人以上の脳を見た作者加藤俊徳が書いた「一生頭がよくなり続ける もっとすごい脳の使い方」を読んだ。 以前読んだ、一生頭が良くなり続けるすごい脳の使い方の続編だ。 表紙が、オレンジになって更に煽ってきている。 ichi-z.com 前回読んだときも驚いた…

「刑事何森孤高の相貌」なに森じゃなくいず森です!

初読みの作家、丸山正樹の「刑事何森孤高の相貌」を読んだ。 なにもり、ではなく、いずもりと読ませる孤高の刑事が活躍する連作短編ミステリ。 おふざけ要素なしハードボイルドな警察小説だ。 孤高すぎて、回を重ねるごとにどんどん降格されてゆく主人公。 …

「天駆せよ法勝寺」仏教スペースオペラ!?

八島 游舷の「天駆せよ法勝寺」を読んだ。 あらすじをみて、まず「仏教スペースオペラ」!?とびっくりするとおもうが、確かにスペースオペラだった。 SFと仏教の組み合わせを考えついた時点でもう優勝って気もする。 物語は、仏教が世界を席巻している未来…

「好きを言語化する技術」ありきたりに逃げるな!

三宅香帆の「好きを言語化する技術」を読んだ。サブタイトルは「推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない 」だ。 わかっかる~。 私のブログも自分の読んだ本を、つらつらとおすすめする文章だけど、書けば書くほど「よかった」とか「すご…

「偉大なる、しゅららぼん」龍の声が聞こえる姉弟

万城目学の「偉大なる、しゅららぼん」を読んだ。 案に違わず大変「万城目学」らしい、大ぼらスペクタクルファンタジーだ。 映画化されているので、ご存知の方も多いだろう。 私も、「濱田岳」が赤い学ランを着て出演していることだけは知っていた。 琵琶湖…

「サンギータ」

アマサワ トキオの創元SF短編賞受賞作、「サンギータ」を読んだ。 イラストに惹かれて読んだがSFのようなファンタジー古代ロマンのような(実際には近未来が舞台だけど)壮大な話だった。 最初のうちはちょっと硬めでとっつきにくいかな?と思ったけど、無免…

「吉田同名」吉田による吉田のための吉田同盟の設立

石川宗生の「吉田同名」を読んだ。 大真面目に無骨な文章でふざける「大人の本気」みたいな小説で、読んでる間中ちょっとニヤニヤしてしまった。 筒井康隆っぽいと思ったらやっぱりレビューに同じようなことを思った人がいてもうひとニヤリだ。 筒井康隆っぽ…

「地面師」ドラマみたいなノンフィクション

森功の「地面師」を読んだ。 ほんとにこんな話あるの?え?ドラマじゃなくてノンフィクションだよね? と耳を疑う話だった。 最近私の会社では異常に地面師が流行っている。 どうやらネットフィリックスでドラマがあってるみたいで、面白くて一気に観た派と…

「杉の柩」ポアロの友だちには泥棒がいるらしい

アガサ・クリスティの「杉の柩」を読んだ。 エルキュール・ポアロが最後の最後に華麗に解き明かした犯人はまさかのあの人。 全く予想していなかった人物がまたしても犯人なんだけど、とは言え既視感もある。 これとかね。とは言え結局毎回騙されるんだけどね…

「忠五郎の話」小泉八雲のイヤミスならぬイヤ怪談

小泉八雲の「忠五郎の話」を読んだ。 とても短い話だ。忠五郎ったらかわいそうに。 美しい女の魔物に魅入られて死んでしまうのだが、正体ががっかりすぎるのである。 特筆すべきは、女に連れて行かれる場所が「水の中」であるところ。 水の中なのに苦しくも…

「君のお金は誰のもの」誰もお金に振り回されちゃいかん!

田内学の「君のお金は誰のもの」を読んだ。 私も目からウロコの事が多かったが何よりもこどもに読ませたいと思った一冊。 こんなに読みやすいのに、何のために働いているかがを考えさせてくれる良書。 まず、お金自体に価値があるのではない、お金は国内で使…

「玩具修理者」

小林泰三の「玩具修理者」を読んだ。 グロいホラーというイメージでずっと手がでなかった。 気力が充実してないと読めない気がして。 玩具修理者 (角川ホラー文庫) 作者:小林 泰三 KADOKAWA Amazon 玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジ…

「存在のすべてを」

塩田武士「存在のすべてを」を読んだ。骨太の良い作品だった。 「罪の声」がすごく良かったので期待をしていたが、前作に勝るリアリティで、 あーこれもまた映画化されちゃうんじゃない? さすが本屋大賞ノミネート! ちなみの罪の声はあの「グリコ森永事件…

「考えすぎない練習」思考の総量を減らしてあなたもハッピーに。

ジョセフ・グエンの「考えすぎない練習」を読んだ。 さきほど、アマゾンで考えすぎない、を検索して驚いた。 なんとまあ、類似書籍の多いことか・・・ ・考えすぎない ・考えすぎない生き方 ・考えすぎない練習帳 ・考えすぎない人の考え方 ひょっとして、み…

「本日は大安なり」ウエディングプランナーは大変

辻村深月 本日は吉日なりを読んだ。レビューとか、表紙のイラストを見て結構ブラックなオチ、イヤミス系かなーとビビりながら読んだけど、なかなかどうしていい話やんけー ウエディングプランナーという仕事はたしかにいろんなことが起こりそう。 本日は大安…

積読討伐生活のすすめ「NFCタグ活用」

積読、増えることはあっても減ることはないあの厄介で愛おしい存在。 みなさんは、積読タイプだろうか?きちんと読んでから次の本に手を出すタイプだろうか? 私は思いっきり本にだらしないタイプだ(ここは女にだらしないタイプかのように読んでくれ) 二股…

「コンプルックス」ルックルックルッキズム。

クノタチホの「コンプルックス」を読んだ。 ただでさえ目を引く表紙だが、紹介文に書かれているのは「女装心理カウンセラーが書くルッキズム小説」とある。 しょーもないタイトルを付けてしまったが、「ルッキズム小説」という分野ができているのか~ さて、…

「生きのびるための事務」好きなことだけして生きてなにが悪い?

坂口恭平の「生きのびるための事務」を読んだ。 若い頃に出会いたかった一冊。道草晴子の漫画もとても良い。 事務、ってことに苦手意識を持っている人は多い。苦手、というだけではなくて「ワイルドに破天荒に生きたい」「クリエイティブに自由に生きたい」…

「ルナティック・レトリーバー」伏線を回収しすぎるな!

真門浩平の「ルナティック・レトリーバー」を読んだ。第19回ミステリーズ!新人賞受賞作らしい。 なかなかしっかりしたミステリで面白かったのだが、なんでタイトルが「ルナティック・レトリーバー」なのかはちょっと分からなかった(かいてあったかな?) …

「コロコロ毛玉日記」ネコは平和しかもたらさないのだよ

大好きな中川いさみの「コロコロ毛玉日記」を読んだ。 高校のときからずっと大好きなくまのプー太郎の中川いさみ・・・ あの頃、吉田戦車みたいな「シュール」が流行ってたんだけど、くまのプー太郎はそれともちょっとちがって「不条理ギャグ」っていわれて…

「とらんぷ譚」お耽美ブラックストーリー

中井英夫の「とらんぷ譚1. 幻想博物館」を読んだ。 中井英夫といえば日本三大奇書と言われている「虚無への供物」の作者だ。 30年くらい前に読んだことがある。 もはや、読んだことがあることしか覚えていなかったのでもしかしたら夢かもしれない。ただ、な…

「あの子とQ」 Qは吸血鬼の吸!

ポップな表紙が気になる万城目学の「あの子とQ」を読んだ。 吸血鬼少女の青春物語だ。 弓子はまだ恋もしらないキラキラな高校2年生。どこにでもいる彼女は・・・と言いたいところだが実は吸血鬼の両親の元に大切に育てられた吸血鬼少女なのだ。 だが、最近…