iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

『目には目を』復讐は誰を救うのか

新川 帆立 の「目には目を」を読んだ。

語り手が誰なのか、どんな立場なのかが少しずつ明かされていく構成に引き込まれた。

最初は「信頼できない語り手」なのではと疑ったが、実際には嘘をついているわけではない。ただ、性別すら隠されて語られるため、読者は常に宙づりにされたまま読み進めることになる。こういう仕掛けはシンプルだけれど、やはり効果抜群だ。

 

読んでいるうちに、どうしても自分に引き寄せてしまう。私の想像力は「自分の子どもが被害者になったらどうしよう」までしか届かない。

「自分の子どもが加害者になったら」とまでは考えられない。

けれど小説「目には目を」は、まさにその想像力の外側を突きつけてくる。

そんな「もしも」を考えさせられ、背筋が冷たくなる。これぞフィクションの醍醐味だ。

 

タイトルの「目には目を」は、ある事件から端を発している。娘を殺された母親が、加害少年の居場所を突き止めて命を奪ってしまったのだ。

 

誰が加害少年の所在を母親に教えたのか。その謎を追うミステリーとしての面白さに加え、加害少年たちの更生のあり方が丁寧に描かれている点が印象的だった。

 

「加害少年」とひとくくりにしてしまえば簡単だが、実際にはその中にさまざまな姿がある。型通りの反省しかできない者もいれば、どうすれば本当に償えるのかを必死に模索する者もいる。

 

犯した罪は消せないが、それでも彼らをすべて大人と同じように裁くべきなのか。自分が被害者遺族だったら?加害者家族だったら?想像すればするほど、事件の周囲には不幸しか残らないのだと痛感する。

 

復讐は何も生み出さない。頭ではわかっているが、実際に被害者の立場に立ったとき、同じことを言えるのかどうか。

 

最後に語り手が犯人に宛てて書いた手紙は、その問いに静かに答えていたように思う。

 

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目には目を (角川書店単行本)

なぜ少年Aは殺されたのか?

【罪を犯した「本当は良い子」の少年たち。奪われた命が、彼らの真実を浮かび上がらせる。】

重大な罪を犯して少年院で出会った六人。彼らは更生して社会に戻り、二度と会うことはないはずだった。だが、少年Bが密告をしたことで、娘を殺された遺族が少年Aの居場所を見つけ、殺害に至る――。人懐っこくて少年院での日々を「楽しかった」と語る元少年、幼馴染に「根は優しい」と言われる大男、高IQゆえに生きづらいと語るシステムエンジニア、猟奇殺人犯として日常をアップする動画配信者、高級車を乗り回す元オオカミ少年、少年院で一度も言葉を発しなかった青年。かつての少年六人のうち、誰が被害者で、誰が密告者なのか?

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