2025年直木賞候補作の一冊、芦沢 央の「嘘と隣人」を読んだ。
先日読んだ「慈雨」を思い出す「引退した元刑事が主人公」の連作小説。
さすがイヤミス短篇の名手といわれるだけある。
人間が持ついい面と悪い面でいうと、必ず悪い面で終わるカードゲームのよう。
誰にでもあるちょっとした嘘と保身がいかにもありそう。
主人公の平良正太郎は
「引退したし、家庭菜園をつくろうかなー」なんてほのぼのしたいのに、ついつい巻き込まれた小さなトラブルを、昔取った杵柄の洞察力で推理してしまう、知らなければよかったようなことまで暴いてしまう。
「かくれんぼ」「アイランドキッチン」「祭り」「ついでに」「嘘と親切」の5編
個人的に印象深かったのは「アイランドキッチン」。
面白い、というのは違うかな。旦那の“悪意なき支配”にも「うへぇ」ってなるし、その後の妻の行動もかなり引く。
旦那が、新居勝手に決め、自分の誕生日にサプライズで知らされたら・・・
しかも、常にきれいに整頓していることが求められるアイランドキッチンだったら。
うん、そうとう嫌。
これこそが、芦沢央のイヤミスの真骨頂である。
「嘘と隣人」の魅力は、誰も極端に悪人ではないところ。
けれども、全員がちょっとずつズルい。そのズルさの累積が、ときに誰かを破滅させる。
こんなにもお天道様に恥じぬようにせねばならぬな、と思う本もない。
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