恩田陸の『不連続の世界』を読んだ。
「塚崎多聞シリーズ」の第2作である。……と自信をもって書けるのは、前回『珈琲怪談』を読んだときに「シリーズ第3作だった」と知ってショックを受けたからだ。
順番を無視してシリーズの途中から読み始めた挙句、今回はそこからさらに遡るという体たらく。もはや意地である。次は必ず第1作に戻るとここに宣言。
さて『不連続の世界』に登場する多聞は、『珈琲怪談』のときとはまったく違う印象を受けた。どこか性悪で、ちょっとアクが強い。まだ人間としてのトゲが丸くなる前といった感じだが、それもそのはず。シリーズを遡って読んでいるのだから、こちらの方が若い多聞なのだ。時系列に忠実な人物造形に、恩田陸の巧さを感じる。
さらに今回はAudibleで『不連続の世界』を聴いた。ナレーターの声が、私の中で出来上がっていた多聞像とはやや異なり、最初は軽い違和感があって、今回あんまりかな~
なんて舐めた事を考えていたら、さすが恩田陸。
最後の一編「夜明けのガスパール」では、まさにガツンとやられた。
油断していたぶん、なおさら衝撃だった。えーあなたが?!
こればかりはネタバレ厳禁なので、ぜひ何も知らずに体験してほしい。
中年男性――いや、おじさん世代の多聞たち四人組の友情が、ときおり予想外の角度から胸に刺さる。
決して青臭くはないのに、なぜだかキュンとするのだ。酒をのみながら
だらだら続く会話と夜行列車というシチュエーション。いいなぁ。
やっぱり、早く第1作を読まなければ座りが悪い。
この作品はAudibleで聴きました。体験はこちらから!
\ 無料体験中でも12万冊以上が聴き放題 /
👉 Audible無料体験(Amazon公式)
リンク先:https://amzn.to/44JJJWy
帯に何度も無言電話が……。友人は言った。「俺さ、おまえの奥さん、もうこの世にいないと思う。おまえが殺したから」(「夜明けのガスパール」)――他四篇、『月の裏側』の塚崎多聞、再登場。恩田陸のトラベル・ミステリー!
次に読みたい本

