五条 紀夫の「殺人事件に巻き込まれて走ってる場合では無いメロス」を読んだ。
恐れ多くも太宰治の走れメロスを下敷きにしたユーモアミステリーだ。
何が面白いって、古代ギリシャの人の名前がどうせ覚えられないだろうと言うことで、めちゃくちゃわかりやすくなっている。
例えば妹の名は「イモートス」結婚する若者「ムコス」その父はギフス。
ちなみに、第一話はギフスが密室で殺される事件だ。
急いで戻らねばならないメロスは次々と殺人事件に巻き込まれ、そのたびにイマジナリーフレンドである「イマジンデウス」の知恵を借りながら事件を解決してゆく。
ある時は、目撃者のミタンデスに聞き込みをしたり、山賊の親分のゾクノボスと協力したりととにかく、走ってる場合じゃないのだ。
最後には、太宰治を元ネタとしたオサムスまで登場。
楽しく一気読みできる振り切ったエンタメ小説。
バカバカしい?いや、突き抜けてる!
走れメロスの細かいところまでパロディに組み込まれて、いちいちクスッとできる。
メロスは激怒した。が、メロスは推理した!になっている。
コナン君の真実はいつも一つ!のような決め台詞。
さすが、チクワに殺されますの作者!
頭空っぽにして楽しく読めます。
身代わりとなった親友を救うため、メロスは推理した――!
自身の身代わりとなった親友・セリヌンティウスを救うため、3日で故郷と首都を往復しなければならないメロス。しかし妹の婚礼前夜、新郎の父が殺された。現場は自分と妹しか開けられない羊小屋。密室殺人である。早く首都へ戻りたいメロスは、急ぎこの事件を解決することに!? その後も道のりに立ちふさがる山賊の死体や、荒れ狂う川の溺死体。そして首都で待ち受ける、衝撃の真実とは? 二度読み必至の傑作ミステリ!
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