下村 敦史の「全員犯人、だけど被害者、しかも探偵」を読んだ。
そんなことありえない!と思ったけど、
なるほど、かなりアクロバチックだけどもこうすればありうるのか。
ただし、前提というのがかなり危ういので、これ、本当にみんな信じてしまってるのかな??
机上の空論というか、論理に逃げ込み過ぎるんじゃないか?
なんて思って読み進めたのだが、最後の章でこの不信感にもちゃんと回答が用意されていた。さすがですわ。
物語は、ある事件の関係者たちが何者かに呼び出されるところから始まる。
集められた目的もわからないまま、彼らはまんまととある廃屋に閉じ込められ、そこで真犯人だけが生き残ることができるデスゲームがはじめられる。
ふつうは自分の無実を証明したがるのに、自分が犯人であることを証明するという不可思議さ。
ありえないことに、その言葉を信じて順にみな犯行を自供し始める。
「われこそは犯人なり。」
ところが全員でその犯行には無理があることを立証しようとする。
もちろんみな廃屋に閉じ込められたままなので、完全な頭脳ゲームだ。
犯行の動機やトリックを語り自分が犯人だと言い立てる様子は、相当珍しい光景だろう。
いやー、タイトル通り。
『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』はまさにこれまでにないミステリーだと思う。登場人物がみんな割とクズなのでキャラが素敵、とかはないのだけど、斬新さで群を抜いている。
不信感を最後まで引っ張って、最後に見事な解答を用意しているところが本当にお見事!
ビブリオバトルの3世代3大会のグランドチャンプ本にも選ばれた『同姓同名』の著者が新たに仕掛ける、
多重推理しかも密室しかもデスゲームだけど……
下村ミステリはフツーじゃ終わらない!「私が犯人です!」「俺が犯人だ!」、全員犯人です!
社長室で社長が殺された。それに「関わる」メンバーが7人ある廃墟に集められる。未亡人、記者、社員2人、運転手、清掃員、被害者遺族ーー。やがて密室のスピーカーからある音声が流れる。「社長を殺した犯人だけ生きて帰してやる」。犯人以外は全員毒ガスで殺す、と脅され、7人は命をかけた自供合戦を繰り広げるがーー。
次に読みたい本
私も相当に「よくある名前」だ。
どのくらいすごいかというと、入籍しに市役所に行き初めて新しい姓名で呼ばれ張り切って立ち上がったら、隣の女性も立ち上がるほどだ。初日から!?