iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

「死に髪の棲む家」紙の本の醍醐味—帯の髪の毛にニヤリ

織部 泰助の「死に髪の棲む家」を読んだ。

 

先日、久しぶりに天神(福岡の中心地)の書店へ行くと、この本がやたらとおすすめされていた。

 

よくよく見ると、なんと著者はこの本屋で働く書店員さんとのこと。これは気になる。郷土の星と呼ぶにふさわしいではないか。そんなわけで、久々に文庫本を購入。

 

最近はすっかりオーディブルに頼りきりで、紙の本をちゃんと読めるのか若干不安だった。しかし、そんな心配は杞憂に終わり、数日で読了。(ホッ)

 

いやー、この雰囲気、好きだわ。さすが横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作。


「因習、地方、変な(失礼)姓名、血族、屋敷の見取り図」といった、このジャンルの美味しい要素がしっかりコンプリートされている。

 

そう、この手の作品に求めるのは、ただのミステリーではなく、その土地に根付いた独特の空気感と、少しばかりの怪しげな因縁。

 

物語を動かすのは売れない小説家・出雲秋泰。そして探偵役の怪談師・無妙。
小説家が語り手というスタイルは、京極堂シリーズや刀城言耶シリーズを彷彿とさせるし、何より無妙のクセの強さとセンセとの掛け合いが絶妙。

 

テンポがよくて、割と悲惨な事件が起こるのに、重たすぎない。むしろ、洒脱なやり取りが全体を軽やかにしてくれる。

 

さて、雰囲気は完璧。横溝正史成分も申し分なし。


では肝心のトリックはどうかというと…正直、少々盛りすぎた感がある。いや、嫌いではないのだが、情報過多で整理が追いつかない部分も。読者が皆、正座してメモを取りながら読むわけではないので、もう少しこちら側に歩み寄っていただきたい気持ちはある。

 

とはいえ、キャラクターは実に魅力的で、特に登場する刑事が良い味を出している。小説家が福岡を舞台に活躍しているのも嬉しく、土地勘があるだけにニヤけてしまうことも。あら、姪浜駅でうどんを?なんてね。

(福岡なのに、ラーメンじゃなくてうどんってところもわかってるねーと膝を打ちたい部分だ)

 

次回作、期待。

 

それにしても、本の帯に描かれた一本の髪の毛。これを見た瞬間に思わずニヤリとしてしまった。こういう細やかな仕掛けがあるからこそ、紙の本はやめられないのだよなぁ。

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Amazon.co.jp: 死に髪の棲む家 (角川ホラー文庫) : 織部 泰助: 本

 

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口に髪が入ったら死がやってくる。因習に囚われた一族を巡る怪奇探偵小説!

幽霊作家(ゴーストライター)の仕事のため出雲秋泰が訪ねた素封家の屋敷には、死者の口に毛髪を詰めるという奇妙な因習があった。折しも屋敷では身元不明の老人が髪の毛で首を吊る怪事件が発生、秋泰は死体の番をせよと裏山の番屋に閉じ込められる。翌朝、床を人毛が埋め尽くし、死体は別人に入れ替わっていた! これは怪異か人の悪意か、すべてを説明する推理は存在するのか? 息もつかせぬ第44回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈読者賞〉受賞作。

次に読みたい本

花霞紅莉の怪異調書シリーズ 僕の瞳に映る僕 (メディアワークス文庫)

 

彼の前作、これも博多で起こった事件ということらしい。ふむふむ

 

雑談。

いよいやGWが終わってしまう。

うううう~、私まだ休めます!!

なまじいつもと違う事するから、復帰が辛いよ。でも他の人が休んでいる間働くこともそれはいやっつーか。

あああ、新卒の若者ならまだしももう何回このGW開けを味わったっていうの、私!

 

今年のGWは何もしなかったなー(いや、博多の人らしくどんたくには参加したんだった)もっと、青空のしたで肉焼いたりビール飲んだりしたかったなー
屋内で海鮮でビールは飲んだんだった。

振り返れば割と色々やってたかも。