浅倉 秋成の「家族解散まで千キロメートル」を読んだ。
ロードムービーみたいですね。
登場人物の一人が言っていたけど、前半は確かにそんな感じ。
謎とスリルがあり、タイムリミットに向けて車をどんどん飛ばしていくさまは爽快感がある。
しかし、ゴール(と私たちが思わされていた)を過ぎても物語は終わらない。家族の解散まで着々と距離が縮んでゆく。
家族を解散、と聞くとなんだか悲しいけれど、「解散しまーす」と宣言することはないが、どこの家族も緩やかに解散していくのかもしれない。
父親が神社から盗んだ御神体を返しに、山梨から青森まで車で移動することになった喜佐家のメンバー、母親と兄、姉の婚約者と僕。
長い道のりの中で正体不明の車に追いかけられたり、タイヤをパンクさせられたりと、どう考えても四人の中には裏切り者がいる?
御神体を神社に返した後の後半は「家族」に付いての物語。
お母さんはお父さんが許せないなら、許すべきではなかった。
家族という容れ物を壊さないことを優先した。
そうだけど、こんなふうにお母さんを追い詰めないであげてほしかったなぁ。
でもそれで、家族ってなんだろうと考えるきっかけになったのだから良かったのかもしれない。
ほんと、家族ってなんだろう。お父さんとお母さんと子ども達。
子どもたちが結婚して新しい家族を作るったら?どこまでが家族なの?
一緒に住むことが家族の条件?
あんまり考えないほうが良いかもーと考えるのをやめたくなってしまう私だよ。
我が家も、子どものお世話が大変だ~と髪を振り乱していた15年前が嘘のように、どんどん家族が各々独立していってる。
気がつけば孤独(←ハライチっぽく)
〈家族の嘘〉が暴かれる時、本当の人生が始まる。どんでん返し家族ミステリ
実家に暮らす29歳の喜佐周(きさ・めぐる)。古びた実家を取り壊して、両親は住みやすいマンションへ転居、姉は結婚し、周は独立することに。引っ越し3日前、いつも通りいない父を除いた家族全員で片づけをしていたところ、不審な箱が見つかる。中にはニュースで流れた【青森の神社から盗まれたご神体】にそっくりのものが。「いっつも親父のせいでこういう馬鹿なことが起こるんだ!」理由は不明だが、父が神社から持ってきてしまったらしい。返却して許しを請うため、ご神体を車に乗せて青森へ出発する一同。しかし道中、周はいくつかの違和感に気づく。なぜ父はご神体など持ち帰ったのか。そもそも父は本当に犯人なのか――?
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