iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

「彼女が遺したミステリ」

伴田音の『彼女が遺したミステリ』を読んだ。

 

号泣必至のミステリーとあったが、どちらかというと微笑ましい終わり方だったなぁ。

 

物語は、病気で亡くなった婚約者の一花が遺した謎解きゲームを解くことで、悲しみから再生する僕の話。

 

これから結婚しようという時に病気が見つかり、余命宣告まで受けてしまう一花。彼女にとって現実は辛いものだったが、打ちひしがれて悲しみに沈むのではなく、彼女は一つの計画をする。

 

愛した人が自分の死後に落ち込みすぎないように、あるメッセージを送るのだ。

 

しかも、簡単に送っては受け取ってもらえないと考え、大掛かりな謎解きゲームを仕掛ける。

 

すべての謎を解いたところで、本当に言いたかったことを伝えるビデオメッセージが見つかる仕掛けになっている。

 

「私のことを忘れないで」ではなく、「愛してくれてありがとう」と。それから先のメッセージはこれから読む人のためにとっておこう。

 

 

一花ちゃん、若いのに大変人間ができているわ~。私なんて、50を超えても余命宣告をされたらしばらく自分のことしか考えられない気がする。

本気でほの字だったのね(死後)

 

 

確かに、現実はこんなにうまくいかないかもしれないけど、協力者の一人が

「イイですね、そんな小さな奇跡が起こってもいい」

と言ったように、たくさんの人の善意の積み重ねで小さな奇跡が起こり続ける。そんな話だ。

 

彼女が遺したミステリ (双葉文庫)

婚約者の一花が病気でこの世を去った――。哀しみにうちひしがれる僕に一通の手紙が届く。送り主は亡き恋人。そこに記してあったのは、「謎解き」だった。彼女から出される謎を解いていくたびに、明かされていく恋人の想い。喪失と再生。「誰かを愛するということ」の大切さが胸にささる、涙なしでは読めない恋愛ミステリー。第6回「双葉文庫ルーキー大賞」受賞作

 

次に読みたい本

 

「私が一番好きなミステリー」として謎解きゲームの最初の問題にもなった、アガサクリスティーの「そして誰もいなくなった

そして誰もいなくなった (クリスティー文庫)

そして誰もいなくなった (ハヤカワ・ジュニア・ミステリ)

 

そして誰もいなくなった〔コミック版〕1 (クリスティー文庫)

 

アガサ・クリスティー そして誰もいなくなった [DVD]

ベタ過ぎなので、ジュニアノベル版と、コミック版と映画版も貼り付けてみた。

定番中の定番で名作中の名作だが、一人に一台スマホを持っている現代では使えないトリックであることも確かだ。

 

そもそも、英国人の謎のプライドの高さというか、階級社会に根付いた物の考え方は現代日本人にはちょっとわかりにくいかもしれない。