呉勝浩の「法廷占拠 爆弾2」を読んだ。
前作の「爆弾」で私を震撼させた「スズキタゴサク」の再臨である。
前回もスズキタゴサクの異様さに「妖怪感」と書いていたが、それでも最後はそんなに悪くない終わり方?と思っていたが、今回はスズキタゴサクが更に怪物になっていた。
事件は、実はスズキとは別軸で発生している。
スズキを裁くための裁判の法廷が占拠されるのだ。
立てこもり犯と類家との息詰まるような駆け引き。
法廷を占拠した動機はなんなのか?スズキはどう動くのか?
今回の類家の相手は、柴崎という20歳の若者。
彼の計画の周到さと動機の複雑さで警察側は苦戦を強いられる。
現状まだ起こってはいないが、このような形の劇場型犯罪はいつ起こってもおかしくはないかも(犯人は立てこもった現場からリアルタイム配信を行い、刑事との交渉もネットにさらしたのだ。)
しかも、逃亡中、検問の場所をSNSの一般市民のつぶやきで特定してゆくのだ。
(これは今でも十分ありそう)
それにしても、このスズキタゴサクの異様さは一体なんなのか。
タゴサクの強さはちょっと前の流行語で言うところの「無敵の人」だからだ。
家族も友人も何もない、この世に未練も何も無い、自分がいてもいなくても悲しむ人も引き止めてくれる人もいない。守るものが何もないのだから、凶行を思いとどまらない。
しかも、タゴサクは詭弁を使うのである。そして、気味の悪いほど他人の悪意に敏感だ。ちょっとマゾなのかもしれない。
ちょっかいを掛けて、怒らせて、自分を傷つけさせようと仕向けている。
タゴサクの存在は災いに近いとおもった。
なので、(ここからちょっとネタバレになるので読む予定の人はモザイクを掛けていただきたいのだが)最後彼が逃げてしまったときこの悪意の塊がまた何かやる予感でふるえた。
そもそも爆弾の続編が出るとも思っていなかったが、タゴサクが開放された今、そして、前回スズキを落とした刑事「類家」が「次は絶対勝つ」と言っている以上、第3作もありそうである。
早くタゴサクを捕まえて閉じ込めて、そして奴の口を塞いでくれ。
史上最悪の爆弾魔が囚われた。
そのとき新たな悪が生まれた。
東京地方裁判所、104号法廷。
史上最悪の爆弾魔スズキタゴサクの裁判中、突如銃を持ったテロリストが乱入し、法廷を瞬く間に占拠した。
「ただちに死刑囚の死刑を執行せよ。ひとりの処刑につき、ひとりの人質を解放します」前代未聞の籠城事件が発生した。
スズキタゴサクも巻き込んだ、警察とテロリストの戦いが再び始まる!
次に読みたい本
全然関係ないけど、文を書いた高野秀行も絵を描いたスケラッコも好きなので。
納豆って、日本だけじゃないらしい。
在宅勤務のランチ、80%くらい納豆卵かけごはんを食べている。
もはや納豆菌が血流にのり、そのせいで血液がドロドロになっているフシがある私としては、納豆の地位向上は大変ありがたい。