iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「遠野物語と怪異」囲炉裏端のエンターティナーによる究極の世間話

柳田國男生誕150年、遠野市立博物館特別展の書籍化「遠野物語と怪異」を読んだ。

読んだと言うか眺めた。

この表紙をみてハートを撃ち抜かれてしまった(特殊なハートゆえ)

 

遠野物語について簡単に説明すると、柳田國男が1910年に発表した岩手県遠野地方の伝承を聞き取りして書いた物語で、日本の民俗学の出発点になったとも言われれている作品。

 

なんとコメントしていいかわからない話とか、え?それだけ?みたいな話も多い。

一方、囲炉裏端で話されていたあれこれの世間話を話し上手のおばあちゃんおじいちゃんが盛りまくったじゃない?という感じの話もある。

でも何より特徴は「怪異が普通の生活にある」ところかな。

なんというか、昔の話ではなくて今生きている人々の話なの。

カッパや天狗、雪女、座敷童子など様々な妖怪たちと生き生きと共存する遠野地方。

 

行ってみたいな~

 

なんでかな?雪に振り込められて囲炉裏で話す時間が長いからかも?なんて。

でも調べてみると、すごく山奥の秘境というわけでもないみたい。

私の家からなら1600Km、車で19時間だそうだ。

意外と近い気もしてきたが、冷静にマップを眺めていると断然韓国ソウルのほうが近い。

 

ところで遠野物語の序文には

「願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ」という一文が書かれているらしい。

なかなか挑戦的じゃない。

 

近代化する平地人(多分都会の人たち)にむかって、カッパや天狗の話はまだこちらでは現役で存在していることを思い出せって感じなのかなと。

 

そうそう、遠野物語って本当に昔話じゃなくて「世間話」なのである。

だから、柳田國男は遠野の人にこの物語が読まれるのを嫌がったらしい。本当に現存している「〇〇さんの話」を本人に読まれるのが怖かったんですって。

 

遠野物語と怪異: 遠野の呪術の世界 (本で楽しむ博物館)

 

遠野物語は「柳田國男」が遠野出身の青年「佐々木喜善」に聞いた話を編集したもの。

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この本には、いろんな怪しいものが盛り沢山で紹介されている。

いくつかピックアップ

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この大工人形、後世の人が知らずにこれを発見したら相当怖いと思う。というか、そういう怪談をいくつか聞いた事がある。

屋根裏に封印された木箱があり、それを開けると中から髪の毛と人形が出てくるって、

知らなきゃ絶対守り神とは思えんでしょ。

 


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こちらが(やや)有名なオシラサマ。

木の棒みたいなのにどんどん布を被せていくお人形のような感じなんだけど、もうちょっとかわいくできたはず(なのにそうじゃない)ってとこが気になる。

 

いまでは、オシラサマを祀っている個人の家は少ないそうである。

なんでも、女の人がオシラサマを「遊ばせ」たりするそうで、そりゃ最近の若い子はやってくんないよなー

他におもしろおかしいお遊びどころがたくさんあるのに、木の棒に布被せた人形では面白がれないだろう。


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遠野は河童出現情報も多い。 一口に河童といっても、人間よりのやつと、亀よりのやつなどバリエーションに富んでいる。

 

 

 


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こちらは、天狗のミイラと龍の肝などなど。

空想上の生き物の肝とか歯とか、ずるくない?いかにも高値で販売されてた感じの容れ物だし。

天狗のミイラについては、もはやノーコメントだけど。

 

 

 

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そして、通ぶって色々遠野物語のことを書いておりましたが実際にはこちらの漫画しか持っていない。若い頃文庫で読んだけど、なくしてしまったよ。

ああ、オモチロかった(水木先生の口ぐせ)

 

 

次に読みたい本

遠野物語

 

京極夏彦のリミックス版も読んでみたいんだよねー

遠野物語remix (角川文庫)