宮部みゆきの『三鬼 三島屋変調百物語四之続』を読んだ。
やっぱり面白い。
いままでおちかの仄かな恋のお相手だった青野利一郎があっさりと去ってしまい、代わりに貸本屋の若旦那、勘一が登場する。
書いているうちに「こいつじゃないな」と思ったんだろうなー。
いとこの富次郎も帰ってきて、これがなかなか良い男で、お話に勢いもついた。
数十年前に始まったシリーズだが、後追いで読み進めていると、あちこちのあらすじでおちかの結婚相手が目に入ってしまう。
別にそればかり注目しているわけではないのだけれど、先に結末を知ってしまうと、ちょっとがっかりするような気分になる。
さて、今回は表題作「三鬼」を含む4本の作品が語られる。短編とは言えないボリューム感。
この中では「食客ひだる神」が明るくて好きだ。
「ひだるい」という言葉は、もう標準語からは消えてしまっているかもしれない。
ひもじいとけだるいを掛け合わせたような意味だ。
旅の途中でこの「ひだる神」に取り憑かれたら、すぐに何か口に入れて食べる必要がある。要するに低血糖状態だろう。
「食客ひだる神」は貧乏神のように見えて、実は取り付いた男の身代を太らせる福の神だった……
と、ここで終わらないところが面白い。
男の身代を太らせたことで、ひだる神自身も太ってしまった。(物理)
おかげで家の基礎が歪み、家中でめまいや風邪っぴきがあとを絶たない。
致し方なく「夏の間はひだる神のダイエット期間」として商売を休むことに。
どんな神様でも大切にする男とそのおかみさんの、心温まる怪異との交流にほっこりする。
一方、表題作「三鬼」の感想は「壮絶」「切ない」だった。
どの話も、一度読み始めたら止まらない。
改めて、宮部みゆきのストーリーテラーぶりにしびれた。
それにしても、面白いけれど長い!
そのせいで他の本の進捗が押されるのは、ちょっと困る。
エンタメのために一生懸命な私。
三島屋の黒白の間で行われている変わり百物語。語り手の年齢や身分は様々で、彼らは正しいことも過ちもすべてを語り捨てていく。十三歳の少女は亡者の集う家の哀しき顛末を、絶品の弁当屋の店主は夏場に休業する理由を、そして山陰の小藩の元江戸家老は寒村に潜む鬼の秘密を語る。聞き役に従兄の富次郎も加わり、怪異を聞き積んでいく中でおちかにも新たな出逢いと別れがあり―恐ろしいけど面白い三島屋シリーズ第四弾!
次に読みたい本
ネタ切れエンストなので、AIに
「心温まるけど、怪異をテーマに扱っている本が良いです。おすすめして」
としたら出て来た本。
タイトルを見る限り間違いなく大好物な匂い。ただ、対象年齢はかなり低そう。
いや、ちょうどいいんじゃね!?
めっちゃよくにたシリーズあるよな~