お名前は常々お見かけするが読むのは初めての作者さんだ。
もう少しかる~い感じの作風かと思っていたけど、想像よりややハードボイルドな感じ。(ただ私の勘は今のところ百発35中くらいなので、想像が間違っていることにはもはや驚きはない。)
タイトル通り、謎解き要素に怪談のエッセンスが散りばめられていて読み応えがある。
要するに好きーって感じのタイトル。
主人公ではないと思うが、キーパーソンに耳嚢を書いた「根岸鎮衛(ねぎし ちんえい)」という実在の人物がでてくる。南町奉行のお奉行様だ。
小説の中ではとっても偉いのに現場にバンバン出てきて、キレキレの推理をする、できる上司だ。
しかも、使っている岡っ引きに江戸で唯一の女親分がいたり、ドクロという名前の昼夜逆転したお侍がいたりとなかなか脇役陣も振るっている。
ちなみにこの「根岸のお奉行様」は宮部みゆきの「霊験お初捕物控え」にもでてきていた。隠居した根岸様が耳嚢に書き記す「怪談奇談」を集めるため、霊感のあるお初と懇意にする話。
話戻って幽霊心中では、美しい男女の心中事件を追いかけるところから始まる。
なんと二人とも別々の事件ですでに死んだとされた人物だった。
幽霊がもう一度死んだのか?もちろんカラクリはある、やがて悲しき恋物語だった。
それにしても、シリーズの途中から読み始めたのかと何度も確認してしまうほど「女親分」が自然に登場していて、もう少し特殊設定の説明がほしい気がする(私が理屈っぽすぎるのかしら)
話の中でいろいろな単位が出てきた時、五分(約◯◯円程度)、半時(一時間)みたいに説明してくれる初心者に優しいところがあるのに女親分についてはサラリとしすぎだと思うのよ。
もしかして、別シリーズとリンクしているのかなぁ。
美男美女のあり得ない心中は幽霊の仕業か化け物か
大川の小舟で発見された心中死体は、別々の事件で死んだはずの二人だった。洗い直すと怪しいことばかり。次々に起こる怪異の行方は?
次に読みたい本
現代の耳袋もかなり巻を重ねている。怖いというか不思議というかここまで来ると貴重な資料みたいな気がする。