有栖川有栖の心霊探偵シリーズ「濱地健三郎の霊なる事件簿」と「濱地健三郎の幽れたる事件簿」を読んだ。
心霊探偵・濱地健三郎には鋭い推理力と幽霊を視る能力がある。事件の加害者が同じ時刻に違う場所にいる謎、ホラー作家のもとを訪れる幽霊の謎、突然態度が豹変した恋人の謎……ミステリと怪談の驚異の融合!
新宿にある「濱地探偵事務所」には、今日も不可思議な現象に悩む依頼人や警視庁の刑事が訪れる。
年齢不詳の探偵・濱地健三郎は、助手のユリエとともに幽霊を視る能力と、類まれな推理力で事件を解き明かしてゆく。
心霊探偵、って何でもありかーい!と突っ込みたくなるが、そこはさすがの有栖川有栖。霊が見えるからって犯人がすぐにわかるわけではないのだ。
(現に作中で心霊探偵 濱地に「被害者の例が犯人を教えてくれて解決などということはそうない」といわせている)
心霊探偵は実際に霊を見ることによって「推理を組み立てる」探偵なのだ。
なので、なんとなくズルい解決の仕方に見えなくもないけれどあくまで、論理的にものを考えているし、やっぱりそれは霊能者ではなく探偵なんだと思う。
今回の主人公は「年齢不詳の紳士的な濱地」と「美人でスタイルがよくて絵が上手な」ゆりえのバディ。
絵がうまいゆりえのおかげで、超常現象を紙に描くことができるようになり、要するに霊の絵をかいて人探しができちゃったりするので、とても良い組み合わせなのだ。
濱地のイメージはどことなく、横溝正史の書く由利先生のイメージ。
年齢不詳で若くも年寄りにも見えるところとか。絶対意識していると思う。
(私の脳が横溝菌に侵されているわけではあるまい。)
短編集なのでよみやすい。本格的な本格作家が書く怪談といいましょうか。
秋の夜長にちょうどいいかも・