施川ユウキという漫画家が好きだ。
「オンノジ」「銀河の死なない子供たちへ」などのストーリーはぜひみんなに読んでもらいたいし、「バーナード嬢曰く」を読めば、この世界感を作り上げるのもかくや、インプットの多さなんに舌を巻くのだ。
新刊でたら無条件に書く数少ない漫画だ。
特にオンノジは私の生涯ベストテンマンガに入る。
彼ほど、絵が上手ければ漫画の神様手塚治虫、みたいになる人はいないと思っている。
つまり惜しい!推しずらい!
そして、この「鬱ご飯」は「絵が下手なのに漫画家に?」でも少し香ってくる自意識との果てなき戦いに連敗しているのがよくわかる。
今回、4巻5巻と読んだのだが、ちょうどコロナが最も酷かった自粛期間の話だ。
あれほど辛かった自粛期間の事が、結構遠い昔になってしまっている自分に驚く。
当時の私は、意外と平気なつもりだったのだ。
私、ステイホーム、いける。
くらいに思っていたはずだ。
だが、改めてそんなに遠くないあの頃のリアルな様子を見て、テンションがとても下がった。
私たちは集団で異常だったのだ。
マスクをしていないことが犯罪だった時代だ。
思い出し不機嫌、というかこんなタイムカプセルは嫌だ、というお題になりそうだった。
施川ゆうきも別に、のちにこんな気分で読み返されると思って批判的なニュアンスを込めているわけではない。
ただ、あの頃普通だったことがを3年ほどだっただけなのに、こんなに違和感があるなんて!
これ程食欲のわかないグルメ漫画もめずらしいと言われるこのマンガ。
それだけでも十分異色漫画なのに、もはや当時の鬱屈とした日々を知る貴重な資料めいてきている。
なんだか変なものを飲み込んだかのような読後感だ。読む人を選ぶ傑作?だと思うよ。
(でも最初に読むならオンノジ読んで欲しい)