ずっと読みたいけど、買おうかどうか悩んでいた漫画が手に入った。
先日、久々に丸善に行き、散々仕事の本を探して、高くて買うのを断念したのだが、せっかく来たのに手ぶらで帰れるか!
と勢いで購入。目の前にこの本があって本当にラッキーだった。
書痴の漫画?
書に痴、いわゆる本に関してはとんでもない執着をみせる、阿呆のような人々の話だ。
名前からもう、本の虫。
本をテーマにしたアンソロジー。
歴史を感じる漫画が多い!
お馴染みの水木しげるや、つげ義春、最近の人では、西村ツチカ、こうの史代、それからもちろん表紙を描いたの諸星大二郎など、なかなかのメンバー。
アンソロジーは、思ってもみない発見があって楽しい。
西村ツチカの「きょうのひと」
この人の絵、高野文子っぽい。軽い線がすきだなー
本を読む時にスポッと別世界に漂流する若い女性。
仕事は、暗い画面に文字を打つだけの簡単なお仕事です。
と最後までぼやかしたまま。
休憩中に、本を読むことが楽しみなんだけど、同僚から仕事の効率を高める本を無理やり押し付けられてしまう。
その同僚のミスの皺寄せで一日中忙しかったりするのだが、
いかがなものか
と思いつつ、ひたすら働く時は働くという姿勢はなんかえらい。
えらいというか、骨の髄まで働き者なのね。
西村ツチカ、「谷崎マンガ」でもいいなぁって思っていた事を思い出した。
初読みの作者、森泉岳士「ほんのささやかな」
絵柄がかなり印象的。
お話も良かった。
購入した古本に、娘宛ての出せなかったハガキが挟まっていた。
差出人を見ると直ぐそこだったので、これも何かの縁と尋ねてみると、1年ほど前に亡くなったと。
ちょっとした偶然によって出せなかった手紙が、確執があって生前は仲直りできなかった娘の手に渡るのだ。
「それもこれも本の趣味が悪くなかったからです」
のセリフにしびれた!
永島慎二の「僕の手塚治虫先生」
この本だけでも何度も、漫画の神様、手塚治虫が出てくるのだが、そのものズバリ手塚治虫を讃える漫画。
その中に
手塚治虫を日本人は 世界は 知らなすぎる。
といういう文があって、なんか迫るものがある。
こんなに神様と言われていてもなお、まだまだすごいんだと伝えたい熱い思いが、ちょっとじーんとくる。
私もまだまだ、たくさん手塚治虫を読みたい。
永島慎二は「漫画家残酷物語」などで有名な人。(しらべてみたらKindleUnlimitedで結構読めるみたい)
ちなみにこの漫画にも、その後活躍したたくさんの漫画家が実名でたくさん出てくるので面白い。
つげ義春「蒸発、無能の人より」
これもまた、ああ、つげ義春だなぁと思ういい作品。
こうやってみると意外と絵が可愛かったり、コミカルな表現があるのね。
この「目がずっと塗りつぶされた人」山井二郎といわゆる無能の人との繰り広げられる謎のやり取り。
深いような深くもなんともないような。
面白がればいいのかな???
山井二郎に比べたら、無能の人はめちゃくちゃまともに見えるな。
まとめ
他にも、貸本世代の話や、本屋の話などそれこそ本だらけ、まさしく書痴の本。
主人公たちはみんな本に埋もれて、地震が来たら目も当てられないようなやからばかり。
ニヤリとしたり、漫画家名で思わずググってみたりと二倍楽しくなること請け合い。
実はこの本の第二弾とのこと。