iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

「令和の雑駁なマルスの歌」

町田康の「令和の雑駁なマルスの歌」を読んだ。

ユーモア短編小説、なのか?

短いが人を食ったような内容で面白かった。

なんとなく予想はしていたけれど、終わり方が突然電話をプツッと切られたようなかんじ。

えーそんな終わり方ってあるの?と切ない気持ちになる。

 

マルス、ってなんだろうと思い調べたら、石川淳の短編小説「マルスの歌」というものがあり、それに対するオマージュ、とのこと。

本家本元は反戦小説とみなされ発禁処分になったことがあるらしい。

 

ところが何しろ読んでいないので、どこらへんがオマージュなのか判然としない。

街中である歌が流行っているところかしら。その歌の内容ははっきり書かれてはいないが、もしかしたら体制主義の歌が歌われているのかなと思った。

主人公は友達の室谷に、仕事の成果どころか彼女までうばった男「新田」に復讐をする方法として「愛せ」という理屈をこねる。

つまり、今の段階で新田に攻撃をしても室谷のほうが部が悪い。

であれば、新田を師と仰がんばかりに尊敬せよ。そうすることが最大の戦いなのである。(ここらへん、もうちょい入り組んだ理屈が繰り広げられてて面白かったのだが、残念ながら自分では全然説明できない。)

たしか、達磨和尚とか和尚に腕を切って捧げた弟子とかの話がでてきたのだが。

 

とにかく、素直ないい子の室谷は私の理屈にすっかり屈して、新田を陥れるために愛する作成に身を投じていたのだが、いつの間にか連絡が取れなくなる。

 

そして、室谷を振って新田と付き合うことにした「寂美」が二人の行方がしれないと私のもとにやってくる。

行方不明の二人を探すことになるのだが、とうの彼女が全く切迫感がなく、その道中はなぜか観光気分。

 

私は室谷と新田を見つけるのだが、二人は・・・

 

ミステリーじゃないけどここのオチは聞かずに読んだほうが良いと思うので伏せておく。

深読みすればもっと色々なメッセージが詰め込まれているのかもしれない。

いや、読んだ通りの娯楽小説なのかもしれない。

 

 

 

 

令和の雑駁なマルスの歌

小説を書きあぐねている作家「私」の住むアパートに、旧知の室谷信夫が駆け込んでくる。室谷は私に抱き着くや、泣きじゃくるばかり。「いい加減にしろや」と突き飛ばすと、目を剥いて痙攣し、眠ってしまった。いったい何があったのか? 目を覚ました室谷が言うには——同じ会社に勤める半井寂美と交際し、将来を言い交わしていたが、4週間ほど前から様子がおかしくなった。連絡はつかず、会社で会っても目をそらす。社内の噂では、やはり同僚の男・新田と結婚が間近いという。奸智に長けた新田は仕事上でも、室谷を軽んじるばかりか罠に陥れて栄進し、室谷は無能呼ばわりされるに至った。憤懣やるかたない室谷は、新田を「滅ぼす」、それが「正義」だと言い張る。日中戦争のさなか、発禁処分を受けた石川淳の短編「マルスの歌」へのオマージュだろう。ウイルスが猛威を振るう令和二年、やがて踊り出す群衆を町田は幻視している。「優しさ」ってなんだ?

 

次に読みたい本

石川淳という作者を全く知らなかった・・・

 

新釈雨月物語 (角川文庫)