東京二十三区を読んでおもしろかった長江俊和の「放送禁止」を読んだ。
不幸な出来事の続く大家族のドキュメンタリー。ストーカー被害に遭っている女性への密着ルポ。自殺を思い止まらせる癒しの集団での体験取材。放送する予定で制作されたものの、諸般の事情から“お蔵入り”となった番組のテープ。それらは、半永久的に倉庫の片隅に眠り続けている。なぜ放送されなかったのか?そこには、どうしても放送できない恐るべき“真実”が隠されていた。あなたには隠された真実が見えるだろうか…。
この話、実は深夜ドラマが先だったらしい。
ドラマは好評で映画化もされたとか。
どうやら、フェイクドキュメンタリーという手法でドキュメンタリーのように台本があるドラマ。
ノンフィクションではなく、ノンフィクションのふりをしたアルフィクションとでも申しましょうか。
加えて、ホラーに見せかけたミステリーといいますか、結論をはっきり出さずポーンと読者に投げちゃうところはホラーだが、全て「意味が分かると怖い話」という意味ではミステリーかな。
特に、子供七人の大家族に密着する番組の話。
お父さんがそりゃーもうダメ人間で、できた妻や子供たちがよく我慢してるな、って感じなのだがやはり我慢はしていなかったという話。
物が挟まったような口ぶりで申し訳ないがやっぱネタバレしたら読む楽しみが半減するので、言えない。
それから、ストーカー被害女性密着レポについても途中何回もわかりやすく伏線を貼られるので、最後の結末はカタルシスを感じた。
ただ、癒しの村の話がよくわかんなかったんだけども。なんで詩人が死んだのかいまいちわからずスッキリしない。
どの話も、まー読んでみて!という感じ。
まずドラマがありきなだけあって脳内映像化しやすい。
ほかの禁止シリーズも読んでみたい。