丸山正樹『夫よ、死んでくれないか』を読んだ。
なんともギョッとするタイトル。
まあ、そりゃそうなんだけどさ、「言っちゃった!?」って思ってソワソワしちゃう。
大学の同期だった三十代の女性3人は、集まればいつも旦那への不満ばかり。
一人は早々に離婚し、残りの二人も離婚したいけれど、経済的不安から踏み出せない。
語り手はそのうちの一人、まや。旦那との冷え切った関係に悩んでいる。
結婚したばかりでもない限り、たいていの人は旦那の愚痴を持っている。
これはまあ、お約束みたいなもので、逆に「いつまでもラブラブなんですぅ」なんて言いにくい。
愚痴を言うのは、反感を買わないための処世術でもある。
旦那の愚痴で盛り上がる――これ、女の友情の秘訣。
だから、嫁に「死んでほしい、いや、死ね」なんて言われても、真に受けなくて大丈夫。
それは愛情表現の裏返しなのです(しらんけど)。
それくらい、口を開けば愚痴が出てくるのが夫婦というもの(しらんけど)。
……ちょっと、無理があったか。
物語は、ゆりかが旦那を突き飛ばして意識不明の重体にしてしまうところから動き出す。
そこで、この3人は「まだ死んでない」旦那を始末しようと画策する。
結局、旦那が意識を取り戻して計画は失敗に終わるのだけれど、とにかくこの3人、すぐ「殺すか」という結論に至りがち。
ここで友達の旦那の遺体を処理する小説についても言及されていて、
それって『OUT』でしょ、と思った。
3人の絆は思った以上に固く、裏切り?を何度も匂わせるけれど、
それはすべて他人の仕組んだ罠だった。
この「他人」の距離感が絶妙で、かなり後半になってから、なんだかきな臭い登場の仕方をする。
こういう人に好かれても嫌われても、どちらも不幸だなーと思った。
これだけ言っておきながら最後はどうやら元の鞘に収まりそうなまや。友達を誤解したままでおわらなくてよかったね。
結婚五年目にして夫婦関係が冷えきってしまった麻矢、離婚を経験した璃子、モラハラ気質の夫に悩みながら一人娘を育てる友里香。三十代半ばになった大学の同級生三人組は、立場は違えどみな夫への不満を抱え、時に集まり愚痴を言い合っていた。
しかしある夜、友里香はモラハラ夫との間に大きなトラブルが起き、さらに麻矢の冷淡な夫も何の前触れもなく失踪してしまう。次々起きる事件によって、固い絆で結ばれた三人組の仲にも亀裂が入り始める……。
結婚の本質と危うさに迫る、衝撃のノンストップ・ミステリ!
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