iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「或る女」

林芙美子の「或る女」を読んだ。

 

或る女、で検索するともう一つ有名な或る女があるらしく、その他にも謎にセクシーな写真集がたくさんでてきた。

なんかノスタルジーエロみたいないちジャンルがあるんですかね。それとも有島武郎の方の「或る女」が和製「エマニエル夫人」みたいなコンテンツなんですかね。

 

 

さて、林芙美子の「或る女」は、昭和初期の富裕層の女性、葉子を主人公にした話だ。

ある意味普遍的な悩みでもあるのだが、「若くして結婚し、子育てだけをしてきた私が、子どもがある程度育って(推定38歳)ひょんなことから知り合った息子と殆ど変わらないほどの青年と関係ができてしまう」という話。

 

ただ、この話はそれがメインではなくて、その後のやるせない想いが主体だ。

一時燃え上がったは良いものの、先方から一方的に関係終了を言い渡される。

仕方なく何事もなかったように過ごしているのだが、実は旦那はその不倫が始まったことも終わったことも知っていて、いつも嫌味を言われる。

「籍はしばらくはそのままでいいが、一緒に住みたくはないよ」とか「女は素直で思いやりがあるのが一番だから、どこか田舎に引っ込んでそういう女をみつけて世話をしたい」とか、まあ言いたい放題だ。

まあ、もとはといえば自分の不倫行為が悪いのだから仕方がないとはいえ、旦那の言い草もかなりひどい。

 

家庭に居場所がなくて、外で仕事をしていると肝心の息子にも「家にいない女はいやだ」みたいなことを言われてしまう。

 

僕の結婚相手はお母さんの様に外にばかりでないで家庭に入ってほしいな、などと抜かすのである。

 

あんたまで、そんな事を・・・と泣く彼女に息子がハンカチを差し出すが、それがくさい。

涙ながらに悔しくて「ハンカチくらい換えなさいよ」というと「母さんが洗ってくれたら良いじゃないですか」と返される。

 

「はぁ!?~~~」時代が違うとはいえこんな事言われたらまじで切れるわ・・・

 

 

これって、昭和の初期からあまり変わってないよね。

今離婚してもどうやって暮らしていっていいかわからないからできない。っていうの。

 

なにか、重大な問題がないと別れられないというのはあるかもしれない。

例えば暴力とか家にお金を入れないとか。

ましてや葉子は自分が間違いを犯した側だし暴力などひどい扱いを受けたわけでもない。ただ、幸せではない状態が死ぬまで続きそうなだけだ。

 

葉子は最後夫に「あなたは私が死なないんと許してはくれないのですか」と問う。

 

物語はこの叫びで終わっているけど、葉子がそんな旦那ぶっ飛ばして離婚して自分の人生を歩んでくれていたら嬉しい。

 

自分を幸せにするために、離婚という選択肢を気軽に選べるように有りたい。

そのためにはいつでも一人で生きるすべを確保しないとね。

 

頑張れ私達。

 

今日「うちの夫は隠れモラハラ」というWEBマンガをよんだのだが、経済的に自立している女性でも離婚を切り出すことには罪悪感が合ったというくだりがあり、なるほどとおもった。

苦しんでいるんだが手をあげられるわけではないし、なにより一時は好きで結婚したんだし・・・と思うらしい。

 

真面目か!でもすごくわかる。

周りも、それくらい我慢しなさいよ、世の中にはもっとひどいやつがねー云々という不幸自慢が始まるのだ。

 

だが、自分の人生は一つだから他所と比べて比較的に幸せでも意味がないのである。

 

このマンガはしっかり離婚を突きつけてスッキリするが、葉子はスッキリしたかなぁ・・・

 

ちなみに、このマンガの感想をもう一つ付け加えるとしたら「こんなん全然隠れていない」と思うのである。私はもっと陰湿なやつを知っている。

 

次に読みたい本

やっぱりこちらかしら。

 

あらあら。まあまあ。そこは見えていいやつですか?え、良いんですか?ほー。

このジャケットは有名だから許してたも。(おじゃる)

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