谷津矢車の『蔦屋』を読んだ。
今、NHKの大河ドラマで放映されている『べらぼう』の原作だ。
とはいえ、私はドラマを見ていないので、熱く語ることはできない。
(ただ、この小説とはずいぶん違うのではないかという気がする。なんだか、サラッとしすぎているというか……うまく言えないけれど)
さて、吉原の商売といえば「遊郭」というイメージが強いが、それ以外にもさまざまな仕事があるようだ。蔦屋重三郎は吉原の中で「遊女を置かない」茶屋の若旦那だった。
吉原にいるというだけで、男性でも差別されるとは知らなかった。
重三郎は、日本橋の店のお嬢さんを嫁に迎えようとするが、その父親にけんもほろろに断られてしまう。
それを救ったのが、血の繋がらない親戚である歌麿で……という話。
この出来事を機に、重三郎は「吉原の内と外」などという枠をなくし、むしろ吉原を文化の中心地にしようと決意する。
自分の名を残すことは考えず、人と人をつなぐことに専念し、今で言うプロデューサーとして活躍するのであった。
爽やかな仕事小説で、蔦屋重三郎が魅力的に描かれている。
特に、彼の没後、丸屋小兵衛に「お迎え」が来るシーンは感動的だった。
しかし、実際の彼のプロデューサーとしての活躍の描写があまりなく、そこはもう少し読みたかったかもしれない。
ところで、気になって調べてみたのだが、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社の「TSUTAYA」は、蔦屋重三郎が江戸時代に作った本屋が脈々と続いている……というわけではない!
創立は1983年。老舗とはいえ、さすがに江戸時代までには遡らないようだ。
今の蔦重ブームに乗っかろうと思っているに違いない。
2025年、NHK大河ドラマは「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~」。
その主人公である江戸の出版プロデューサー・蔦屋重三郎の波瀾万丈人生を描く、傑作歴史長編小説!寄る年波には勝てず、店仕舞いしようとしていた地本問屋・丸屋小兵衛のもとを、才気迸る若い男が訪ねてくる。この店に毎年二十両払うから、雇われ人となって自分を手伝ってほしい、という申し出に面食らう小兵衛。
「一緒にやりませんか。もう一度この世間をひっくり返しましょうよ」
その男こそ、吉原随一の本屋、飛ぶ鳥を落とす勢いの蔦屋重三郎だった――。
飲むときはとことん飲み、遊ぶときはとことん遊ぶ。商売の波に軽々と乗り、つねに新しいものを作りたい、と意気込む重三郎。重三郎の周りには、太田南畝、朋誠堂喜三二、山東京伝、恋川春町ら売れっ子戯作者や狂歌師が出入りするが、腐れ縁の絵師・喜多川歌麿には、特別な感情をもっている。
やがて松平定信による文武奨励政治が始まると、時代の流れは予期せぬ方向へ――。
蔦屋重三郎の型破りの半生を、父親ほども年が離れた小兵衛を通して描く。最強バディが江戸の街を闊歩する、極上エンターテインメント小説。
単行本を大幅に改稿し、著者によるあとがき「文庫化までの長い言い訳」を特別収録。
次に読みたい本
蔦重で検索したら大量の本が上がってきてびっくり。今ほんとにはやってるんだなー