iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

「コワい話は≠くだけで。」ホラーモキュメンタリーという世界

景山 五月の「こわい話は聞くだけで」を読んだ。全三巻、完結まで読んだので感想を書こうと思う。

 

まず、仕掛けがすごいのよね~

それもそのはず、原作者に「梨」の文字が。

 

あらすじにあるように「巻き込み型ホラー」。

今流行りに流行っている「モキュメント」のように現実とフィクションの境目が曖昧で作者「景山」も丸っこい3頭身のキャラクターと、割と写実的なキャラクターで書き分けられる。

最初は、写実的なキャラがマンガの中で使うキャラクターが可愛いヤツで、マンガを書いているところ描写する部分(ええい、ややこしい)の本来の景山はこちら側だったのだが、注意深く見ていないとわからなくなってくるのだ。

 

いわば、物語に現実が侵食されていくような感じでかなり不安定な感じになる。

 

しかもしかも、読んでいるうちに徐々に「怖い話は苦手だが、仕事だからやっている」というスタンスの景山が、メンタルをやられていくのだ。

 

しかもそれは、メンタルをやられた本人が書いたマンガ、として掲載されいる。

 

冷静に考えればもしこれがすべて本当であれば編集部が大人の判断で連載を止めて然るべきなのだが、仕組みとして、マンガに登場するキャラとしての景山とマンガを描く側の本人としても景山、二人いることでわからなくなる。

 

しかも、何度も作者本人が制作の裏側や、編集部とのやり取りを見せるので、よりわからなくなる。

 

冷静に考えれば(二回目)ここにやっぱり原作者「梨」がでてこないところが、すでにフィクション何だけどやっぱり読んでいるときは気づかない。

 

「作者が聞いた怖い話をマンガにまとめる」という企画に見せかけているので、もちろん様々の短い怪談が挿入されるのだが、3巻までいくと徐々にそれだけではない不気味さにサラリと読み続けることができなくなる?

背景に気持ち悪いものが映り込んでたりするのだが、それがいわゆる「地の文」というか、マンガの中ではなくて外なのだ。

 

最後に、このマンガの種明かしてきなエピソードが語られるのでそれを楽しみに読み進めてほしい。

 

ただの怪談だと思って読むとあっと驚く。とっても実験的というかチャレンジな一冊。

1巻でワチャワチャ言ってた自分がかわいいわ。ちゃんと完結を見守ってよかった。

ぜひこの新しさを体験してほしい。

 

 

 

コワい話は≠くだけで。 2 (BRIDGE COMICS)

 

コワい話は≠くだけで。 3 (BRIDGE COMICS)

 

 

次に読みたい本

3巻で紹介されていたが、「平山メソッド」というものがあるらしい。

小説家の平山夢明が編み出した怪談の語り方なのだそうだ。

確かに、怖い話にも怖くするテクニックとかスキルがいるのだろう。

一生忘れない怖い話の語り方 すぐ話せる「実話怪談」入門 (角川書店単行本)