伴名練の「なめらかな世界と、その敵 」を読んだ。
久しぶりに「少し不思議な話=SF」ではなく、スペースファンタジーの方の「しっかりしたSF」の傑作短編集だ。
表題作「なめらかな世界と、その敵」は誰もが自在に並行社会を飛び回ることができる世界。
嫌なことががあればすぐに別の人生に乗り換えることができ、その移動は極めてスムーズ。
隣にいる人が別の世界に飛んでも気づかないくらいなめらかに移動することができる。
その設定が明かされるまでの冒頭の数ページで、まずはとにかく頭が混乱する。
意味は分かるのにちっとも理解できない。読者にその説明がされるまで忍耐強く読まなければならない。
これをおもしろがる事ができる人とそうじゃない人がいるのが、レビューの★が両極端になっている理由かもしれない。
確かに、私も自分がおバカだと思われるのを恐れずに言えば、最初のうちはちっとも面白くなかった。
作者は、SF人口を増やしたい覆面作家だそうである。
確かにこの作品は、SF理解者を識別するのには良い踏み絵てき存在かもしれない。
それぞれの話は独立していて、それぞれ思惑も違うようでちょっとよくわかんなかったものも実はある。
脳にインプラントを行って、人間の感情を操る話「美亜羽へ送る拳銃」はとてもおもしろかった。
結婚式では指輪の交換ではなく、互いの脳に「一生互いを愛し合う」という強固なプログラムをピストル型の注射器で互いの脳に埋め込むのだ。
SFと恋愛小説がうまい具合に組み合わされていて読みやすかった。
一方、「ゼロ年代の臨界点」は日本SF黎明期の歴史、のように見せかけた創作(多分)あまりにも資料っぽい文章に、少々脱落。
というか、てっきり鵜呑みにしてしまい恥ずかしいの。
どれ、私も日本最初のSFを読みたいものだと必死に検索をしてしまったよ。
一切ヒットしなかったのでようやく気づくという・・・・
そして、先程
にてその真相を知る。なんと日本SF御三家(星新一、小松左京、筒井康隆)に当て込んでを書いているそうで・・・みんな物知りだなぁ。
SFの魅力を改めて感じた。
SFの魅力は、私たちを未知の世界へ誘い、思考を揺さぶってくれるところ。
みなさんも、自分の「SF耐性」を試してみませんか?
並行世界を行き来する少女たちの1度きりの青春を描いた表題作など、ベストSF2019[国内篇]1位に輝いた傑作集がついに文庫化
次に読みたい本
おそらくこの本から来たのタイトルみたい。
来たるべき300年後の社会を実行可能な形で構想した画期的試論、って書いてあったびっくりするくらい私の脳に染み込まない。