知野みさきの「落ちぬ椿~上絵師 律の似面絵帖~」を読んだ。
初読みの作家さんだ。
タイトル通り、女ながらに上絵師として生きようとする律のお仕事小説。
絵がうまいことを見込まれて似顔絵(当時は似ヅラ絵とよんでいたみたい)を描く、という性質上、律の周りに常に事件が持ち込まられる。
加えて、近所に住む幼馴染の良太との恋愛模様もえがかれて、とっても盛りだくさんな小説。
律はちょっと頑固だ。職人だからちょうどいいのかもしれないけど、涼太が好きなくせに「私は職人として生きる」と必死で想いを無視しようとするし、親戚から差し伸べられた手も振りほどいてしまうし、そのくせチャキチャキのおきゃんな町娘というわけでもない。わりと言いたいことも言えないタイプ。
こんな人のとなりに住んでたら、そりゃーもう何くれ世話を焼いちゃうと思う。
そして、しっかり世話を焼かれて縁談を持ちかけられ断りきれずにズルズル相手のお店まで出向いてしまったり。
いいキャラが周りを固めているだけに、主人公の律が今ひとつ残念な感じ。
もうちょっと陽性のキャラのほうが好きだな。
(そして女は愛嬌なんて、出るところにでたら訴えられかねない発言をしてしまいそう。)
いやしかしシリーズが続いていることを考えると、律というキャラクターもだんだん育っていくのかもしれない。律の成長に期待。
ちなみに、軽い気持ちでてを出すと(私だ)最大の謎「父と母の死の真相」が解明されず持ち越されるミステリファンは、最後まで読まないとスッキリできないこと請け合いだ。
辻斬りで母を亡くし、上絵師の父も失意のうちに死んだ。律は、幼い弟のためにも、父の跡を継ぎ、布に家紋や絵を描く上絵師としての独り立ちを目指していた。そんな折、馴染みの同心が持ち込んだ似面絵に「私が描く方がまし」と口走り……。副業として請け始めた似面絵が、様々な事件を解決へと導いてゆく! 恋に仕事に一途な女職人の活躍を描く新シリーズ。
次に読みたい本
作中で律が「まだ書かせてもらえない」紋についての描写があるのだが、
ぶんまわしという面白い名前がついた道具をつかって描く紋についての本。
ぶんまわしは、江戸時代のコンパスで筆を使ってきれいな円を描くのはそれはそれは技術が必要だったろうなと思う。

