本屋のちっちゃいディスプレイが「最後のトリック」をリピートで激推ししていた。
最近、そういう本の特集コーナーも多く、ビデオが流れていること自体は珍しくないのだが、
なにしろ全国高等学校ビブリオバトルのチャンピオン遠藤君の熱いメッセージは十分足を止めさせる力があった。
なんと先ほど見たら持ち時間五分あるのだが、私は本屋で多分3クルーくらい見てしまっていた。
それほど、遠藤君の
「僕もあなたも殺人者になってしまうのです!殺人者の気持ち味わってみたくないですか?」
という殺し(!)文句に参ってしまって思わずお買い上げたのがこちら。
実をいうと作者深水氏の名前すら知らなかったのだが(そして私は割とよく知らない作家さんの本はまずは図書館とかで借りちゃうことがおおいのだが)
なにしろ見てお分かりいただけるように、遠藤君がずるいくらいなんか好青年なので仕方がない。
で、読み終わった感想を述べさせていただけるなら「遠藤君、君ってやつはなんて純粋なんだ・・・」
ごめん、どこまでも遠藤君を引っ張って。
このミステリ、少し異色でネタバレが厳禁というよりかなり早い段階から「読者が犯人になる本ですよ」といわゆるネタバレをベースとしてまずは物語が幕開けする。
古今東西のあまたのミステリーでほとんどのトリックは出尽くしたかにみえるが、
いまだ犯人になりえてない唯一の人物、それは本を読んでいる読者が犯人というトリック。
しかし、そんなトリックが可能なはずがない・・・というのがこの本の肝。
私は遠藤君より純粋でない、というより比べるのが申し訳ないくらいすれっからしているので、読後しょっぱなの感想は「(かなり批判がましい)えぇ~?」だった。
しかし、後からもう一度彼のビブリオバトルを見て思ったのだが
本を読むというエンタメに正面からがっぷり取り組んで、そして心からこの本の世界に飛び込むことができる、そのことが彼の熱い語りとなり人を惹きつけたのだと思う。
ほら、言うじゃない。踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿保なら踊らにゃソンソン!って。
ははは、我ながらここは古典文学からとか引用したかったが、とにかく同じ本を読んでも一歩引いて、最初にダメなところをいうような読者になってはいかんなと思った。
そういう点でも子供ほど年の離れた(実際長女と同い年だ)遠藤君にキュンとしてしまうのである。
この本は、ちょっとずるいなと思うところもあるけどぜひ、ビブリオバトルを見てから読んで見てほしい!
きっと、このおかげで売り上げ倍増しているのではないだろうか。
エンタメにどっぷり浸れるか自分を試してみたいあなたにおススメ!