iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

爪切男『クラスメイトの女子、全員好きでした』にじみ出る優しさ

爪 切男の「クラスメイトの女子、全員好きでした 」を読んだ。

 

なんともパンチのあるタイトルだが、それ以上に気になるのが筆者の名前。

どうしてこんなペンネームにしたのか?爪 切男。爪さんと及びすれば良いらしい。

苗字なんだね。

 

 

このエッセイ集「クラスメイトの女子、全員好きでした」は、タイトル通り、学生時代のクラスメイト女子たちとの思い出を綴ったものだ。

全編、甘酸っぱい恋心の一歩手前の話で、甘酸っぱいようなちょっと腐臭のするようなwどの話も最後には「〇〇さん、僕はあなたが好きでした」で締めくくられる。

 

一歩間違えば「キモい」のに、不思議とそうならない。むしろ、全方位への愛に満ちていて、読んでいるこちらの心がほんのりあたたまる。

 

言い方は悪いが誰もが「好きになってもらえる対象」だったわけではない。

中には鼻くそを食べる女の子やすぐ嘔吐する女の子も嘘つきな女の子もいる。ただ、彼は人の中にある良いところを見つける天才らしく。ことごとく惚れる。

 

それにしても、幼少期の父親の子育てがぶっ飛んでいて個性的。

幽霊が見える子どもだった彼と、その父親とのエピソード。

息子の「そこにいる!」という声に応じて、見えもしない幽霊に本気の頭突きをかます父。「幽霊には、こっちが強いと分からせるのが大事なんだ」と言い放つ姿が本気なのか冗談なのか。

野生動物にも応用できそうな理論なのがまた面白い。

これは実話なのか?と何度も思う。

 

ふざけたペンネームにふざけたタイトル、だが中身は想像以上にまっすぐで、心に残る作品だった。「クラスメイトの女子、全員好きでした」は、思い出という名の宝箱をそっと開けるような一冊だ。

 

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クラスメイトの女子、全員好きでした (集英社文庫)

小学校から高校までいつもクラスメイトの女子に恋をしていた。
主演・賀来賢人、ヒロイン山本舞香でドラマ化もされたデビュー作「死にたい夜にかぎって」の前日譚ともいえる、全21篇のセンチメンタル・スクールエッセイ。きっと誰もが“心の卒業アルバム”を開きたくなる、せつなくておもしろくてやさしくて泣ける作品。


【目次】
<小学校編>
傘をささない僕らのスタンド・バイ・ミー/恋の隠し味はしそと塩昆布/この世で一番「赤」が似合う女の子/宇宙で一番美しい嘔吐/ワックスの海を滑る僕らの学級委員長/恋の呪文はネルネルネルネ/金的に始まり金的に終わる恋/学校のマドンナは水飲み場の妖怪/ベルマークの数だけキスをして/幼なじみの罪とヤマボウシは蜜の味/僕とおっぱいの三年戦争
<中学・高校編>
幼なじみの愛しき殺意/君の青ヒゲと俺の無精ヒゲ/空を飛ぶほどアイ・ラブ・ユー/アリの巣・イン・ザ・恋のワンダーランド/放課後のジャイアントスイング・プリンセス/私だけの歌姫はクラスで一番地味な女の子/霊能力美少女と肝試し大会とSMAPと/一九九五年のカヒミ・カリィ・シンドローム/噓つき独眼竜 VS 恋するミイラ男
<単行本未収録作品>
マリコは悪魔を信じてる

次に読みたい本

こちらも爪切男による実話失恋小説。ドラマ化もしているらしい。

死にたい夜にかぎって

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