またしても休暇中に事件に巻き込まれる金田一耕助の「迷宮の扉」を読んだ。
かわいそうに、ちゃんとしたバカンスを楽しめたことはあるのかしら。
ちゃんとって言っても人が死なないっていう最低限のラインがクリアできないのだからねぇ・・・
金田一耕助の行く所、必ず事件あり。三浦半島巡りを楽しんでいた金田一は、嵐に遭い、竜神館という屋敷へ逃げこんだ。直後、一発の銃声と共に背中を撃たれた男が土間に倒れこんできた。殺された男は、毎年この屋敷の主、東海林日奈児少年の誕生日に、カードを届け、ケーキを切りにくる男だった。莫大な財産をめぐる人々の葛藤をテーマに、完璧なトリックと緻密な構成で描く傑作本格推理、ほか二篇。
双子の日奈児と月奈児とそれを取り巻く大人たちの事件。
それぞれの子供を引き取った夫婦が、それはそれは憎しみあっていてなんかこわい。
傑作本格推理、とうたうだけあって館の見取り図がないと無理なパズル的要素の強い謎解き。
私のもっとも苦手な分野である。
とりあえず一回聞いただけでは全く理解していないが、驚きの犯人だったということはわかった。
それにしてもまったくもって、なんてこったい!なオチでちょっとだけ悲しくなる。
なんとなく、ハッピーエンドぽく(新たなカップル誕生!)なってるけど子供が2人も死んでますからね!
なんでも、こちらもジュブナイル(少年少女向け)らしい。
にしては、おどろおどろしい舞台装置に遠慮なく起こる殺人。
読み終わっても少年少女向けと気づかなかった。
それくらい、子供を大人扱いした作品に思われる。
他に2編「片耳の男」と「動かぬ時計」という短編も収録されていて、これがまたミステリーというよりは「手のひら小説」的な味わい深いものだった。
でも、頭がミステリに侵されているので「で?」となってしまう。
私の心が貧しいのだ。
金田一のバカンスに興味のある方におススメ!