iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「ポケットにライ麦を」機動力のある安楽椅子探偵!

アガサ・クリスティの「ポケットにライ麦を」を読んだ。

マザーグースの唄をつかった見立て殺人事件を、ご存知ミス・マープルが解き明かすミステリィだ。

 

最初の半分以上は、ミス・マープルも出てこないし、マザーグースを知らなすぎてちっとも胸に迫ってこないと言うか、いまいち物語に乗り切れないまま読み進める。

 

横溝正史の見立て殺人の唄ももちろん知らなかったけど、あれば面白かったのでやはり言葉の壁かなー

 

マザーグースの唄って、きっと韻を踏んでて日本語に訳しちゃうといまいち意味がわからんくなるやつでしょー(は!ひょっとして今流行りのラップ(バトル?))

 

というわけで、今回は読後に今更だが最初の被害者のこのポケットにライ麦が詰め込まれていたのは、なんでかを調べてみたいと思いますyo!

 

調べたというかChatGPTに聞いてみただけだが、回答はこう。

(これが嘘だったらAIってすごいなー逆にクリエイティブよな)

 

マザーグースの童謡「シンガ・シンガ・シックスペンス」の一節に基づいています。この童謡の歌詞が物語のプロットの一部として巧妙に織り込まれており、登場人物や事件が歌詞に関連する形で描かれています。

そして、これがその原文。

Sing a song of sixpence, a pocket full of rye,
Four and twenty blackbirds baked in a pie.
When the pie was opened, the birds began to sing;
Wasn't that a dainty dish to set before the king?

 

そして、日本語訳。

 

六ペンスの歌を歌おう、ポケットいっぱいのライ麦とともに。
二十四羽の黒い鳥がパイの中に入れられた。
パイが開かれると、鳥たちは歌い始めた;
それは王様にふさわしい、素晴らしい料理ではなかったか?

 

はい、日本語になってもわかりませんな。
この黒い鳥は作中では黒つぐみとされていて意味深なキーワードとなっている。

しかし、クリスティはこの見立て殺人を素直でない方法で使っている。

最後の1/10くらいですべてがミス・マープルによって解き明かされる時、やっぱ凄いなーと思う。

 

殺された資産家は、誰から見ても気分の悪い人物で、殺されても「でしょうね」と思われてしまうような人物。

 

だからこそ、いろんな敵がおり、容疑者がいるのだ。

そこに、マザーグーズの唄になぞらえて第二第三の殺人が起こる。

警察は、このマザーグースの見立てに引きずられて、過去のある事件の関係者をガッツリマークする。

犯人はとてもずる賢く頭が良い。そして、残酷。

捜査は見当違いの方向に進みかけるが、実は上品にこの犯人に憤っているマープルが謎を解き明かすのだ。

犯人のやったある行為に対して、マープルがとっても怒っていていつもはそんなに感情的にならないタイプなのに、実は相当怒ってるんだろうな、というのがわかる。

 

それにしても、マープルの潜入力がツヨツヨなのがおもしろい。

ぜんぜん、安楽椅子探偵じゃなくって、被害者の家にしれっと潜り込んで、あれよあれよとちゃっかり泊まりこみベビー服を編みながら女性陣に完璧な聞き込みを行う。

なかなか真似できんよな!

 

ポケットにライ麦を ミス・マープル (クリスティー文庫)

投資信託会社社長の毒殺事件を皮切りにフォテスキュー家で起こった三つの殺人事件。その中に、ミス・マープルが仕込んだ若いメイドが、洗濯バサミで鼻を挟まれた絞殺死体で発見された事件があった。義憤に駆られたマープルが、犯人に鉄槌を下す! マザー・グースに材を取った中期の傑作。

第1話 ポケットにライ麦を

 

ミス・マープルのイメージ、可愛らしいおばあさんを体現している気がする。

 

次に読みたい本

マザー・グース1 (講談社文庫)

谷川俊太郎訳だって。しかも和田誠イラストだって。

これは面白そう。有名なハンプティ・ダンプティの詩かな。

この後、壁から落ちて割れてしまうとはしらずに呑気な顔しちゃって~