吉田修一の「国宝」を聴いた。
奥様方の間で映画『国宝』の話題でもちきりなのである。
そこで、永遠の命題「原作読んでから観るか、観てから読むか」という話になり、「読むには上下巻で結構長いよね」となり、(途中「最近本を読むにも集中力がなくて…」みたいな話に横道にそれつつ)「じゃあオーディブルで聴いたらいいやん」となった本。
なんとこちらの『国宝』、歌舞伎役者・尾上菊之助による朗読である。大変贅沢。
とにかく、歌舞伎のシーンが本物なので臨場感がすごい。
最初、吉田修一の本で上下巻ってことで、なかなか読むのを躊躇していた。
だって、この人の本ってドシンとくる読み応えで、読む方にも気力を求められる作品が多くない?もちろん面白いんだけど、けっこう引きずり込まれて、影響を受けるくらいの深さがあるので、「悪人」とか「怒り」みたいな作品だと、こちらもベストコンディションで挑まないと悪い方に引っ張られそうなんだよね。
さて、結果としてこの『国宝』は、とても爽やかな青春編と、人生の円熟期を迎える花道編、どちらも大変面白く、前日の『悪人』が“黒吉田”だとすると、こちらは“ホワイト吉田”の方でございました。(今作った)
ホワイト吉田の代表作は『横道世之介』。
物語はざっくり言うと、長崎の極道の息子・喜久雄少年が、大阪の歌舞伎役者に引き取られ、そこの坊っちゃん・俊介と二人、競うように芸を磨いてゆく話。
引き取られてからの暮らしは決して温かいものばかりではなくて、喜久雄は芸の世界で自分の立ち位置を見つけるしかなかった。
黙々と稽古を重ねるうちに、彼の中にある集中力と天性のセンスが開花していく。
一方、俊介は生まれながらにして芸の世界に身を置いていた“お坊っちゃん”。血筋という後ろ盾もあって、努力もして、舞台でも一定の評価を受ける。
でも、喜久雄にはどうしても一歩及ばない。
この“届きそうで届かない距離”が、俊介の心を少しずつ削っていく感じがすごくリアル。
やがて、二人は心から親しみ合いながらも、周囲の思惑でライバル関係に仕立て上げられてしまう。本人たちの気持ちとは裏腹に、世間が勝手に関係性をつくりあげていくの、まさに“国宝”としての宿命ってやつかもしれない。
そして、喜久雄の「芸だけに打ち込み、その他は流されるまま生きる」姿勢は、次第に彼自身も、そして彼を愛した人たちも、ボロボロにしていく。それでも彼の舞台には、言葉にならないほどの美しさと狂気が混在していて、目が離せない。
国宝に選ばれた喜久雄の、切なくも美しい幕切れに、思わずため息が出た。
まさに、芸に生き、芸に飲み込まれた人生。花道をそのまま突き進み、歌舞伎座の外にでてゆく瞬間、喜久雄がなにを思っていたのか――それを考えるだけで胸が熱くなる。
映画も観たいかも。
でも、映画には重要なキーパーソンの徳ちゃんが出ていない模様。徳ちゃん、いい味出してるんだけどなあ……そこはちょっと残念。
俺たちは踊れる。だからもっと美しい世界に立たせてくれ!
極道と梨園。生い立ちも才能も違う若き二人の役者が、
芸の道に青春を捧げていく。
芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞をW受賞、
作家生活20周年の節目を飾る芸道小説の金字塔。
1964年元旦、長崎は老舗料亭「花丸」――侠客たちの怒号と悲鳴が飛び交うなかで、この国の宝となる役者は生まれた。男の名は、立花喜久雄。任侠の一門に生まれながらも、この世ならざる美貌は人々を巻き込み、喜久雄の人生を思わぬ域にまで連れ出していく。舞台は長崎から大阪、そしてオリンピック後の東京へ。日本の成長と歩を合わせるように、技をみがき、道を究めようともがく男たち。血族との深い絆と軋み、スキャンダルと栄光、幾重もの信頼と裏切り。舞台、映画、テレビと芸能界の転換期を駆け抜け、数多の歓喜と絶望を享受しながら、その頂点に登りつめた先に、何が見えるのか? 朝日新聞連載時から大きな反響を呼んだ、著者渾身の大作。
次に読みたい本
本屋できになりすぎて、父へのプレゼントとして購入。
全く持って自分が読む気である。お互いに、はじめてのシリーズを読む歳ではない。
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