総合探偵社ガルエージェンシー編の「探偵怪談」を読んだ。
てっきり、探偵が張り込んでいたときに出会った怪異の話かと思ったが(実際そのような話もあるのだが)ほとんどが、探偵が出会った怖い人間の話、ヒトコワだった。
そりゃー探偵にお世話になる人達は、追い詰められた人たちで、言葉を選ばず言うならヤバい人たちが多かろう。
最近、怪談の中でも「ヒトコワ」というジャンルがあって、どうしても「生きている人間が一番怖いよ」なんて言わせたいみたいだが私は反対派だ。(そんな派閥があるかどうかは知らんけど)
人はなぜ怪談を聞くのか?
それは、自分の知らない世界を覗き見てゾゾゾとしたいからではないだろうか。
これは、私の持論(そして、誰も賛同しないやつ)だが、恋や愛のワクワクドキドキを卒業した私達が恋バナの代替品として怪談を聞いているのである。
ワクワクドキドキ、うふふあははの代わりに、ゾクゾクヒヤヒヤしたいのである。
・・・なのにヒトコワなんて。ロマンのないもの入れないでほしいわー
この本では、各地にある探偵事務所「ガルエージェンシー」の調査員たちが体験した怖い話を集めているのだが、人によっては文才を感じられちょっとおもしろかった。
特に良かったなーと思ったのは、浮気調査の途中の待機時間に「ひょっとしてお化け?」と言うような女性に出会った話。
待機中に暇つぶしの「司馬遼太郎」(多分竜馬がゆく)を読む云々、なんて怪談に全く関係ない挿話があってここが一番よかった。
怪談というより、どちらかというと探偵のお仕事についての実話だったような気がする。
当たり前だが、わたしたちの大好きなホームズやポアロやコナン君みたいな話ではなく、浮気調査ばっかりっぽいことがよくわかった。
とても大変な仕事のようで、小学校4年生の将来の夢が探偵だった私も、夢叶わなくて良かったと思ったことよ。
とっても下世話な話も多いがそれも込みで、怪談と思わず「実録探偵物語」として読むのはありかも。
浮気調査、身辺調査、失踪者捜索……探偵の仕事というのは、隠しておきたい〝人間の本性〟を暴く仕事でもある。
それゆえに、調査対象に深く迫り過ぎるあまり、見てはいけないものを見ることもある。
依頼人を悩ませる異音の恐るべき正体、ストーカー行為を繰り返す女が抱えていた戦慄の過去、行方不明者を追う探偵の前に現れたずぶ濡れの男、浮気現場を押さえられた男がとった信じられない行動…。
120を超える支社を持つ総合探偵社ガルエージェンシー。
全国で活動する探偵から〝実際に体験した恐怖譚〟を募集。そうして集まった中から厳選した42編を収録。
心霊、怪奇、ヒトコワ……。あなたも恐怖の調査報告を体験してみませんか。
次に読みたい本
とても面白そうな本が出ている。