「むかしむかしあるところに死体がありました」で有名な青柳碧人の「踏切と少女 怪談青柳屋敷別館」を読んだ。
別館というからには本館もある。
どちらも実話系怪談のコレクション格納倉としての意味合いで「青柳屋敷」と銘打たれているらしい。
正直タイトルで優勝したというか、すごく雰囲気のあるタイトル(と表紙)だと思う。
実話系なので、いわゆるオチがない物が多い。というかオチがないものばかりだ。
怖いというよりも不可解な話も多く、怖くて面白いというより、証拠の積み重ねを見せられる感じ。
多くの怪談本が出ているが、もしかしてすごく面白い実話系怪談は少しフィクションが混ざっているんじゃなかろうか。
それでいうなら、この話は素材を沢山集めて見せてくれる感じ。
その素朴さが嘘を言っていない感じで好感が持てるものも、やっぱりカタルシスがないというか・・・
怖い話でぞーーーっとして、実は・・・と因縁が語られ、最後しみじみしたいじゃない。
という意味ではやや物足りなさもある。
でもタイトルになった踏切の少女は、この絵をみて読んだら結構ぞってくる。
やっぱり、面白がるためには何かしらのスパイスがほしいのである。
いくつか覚えているものうち、面白かったのは、せなけいこの「ねないこだれだ」にでてくるようなおばけが出没した話は面白かった。
目撃者も突っ込んだらしい。「そのまんまかい!」て。
猫にまつわる話は怖いというより、キュンとする話が多かった。
猫を愛する猫のしもべ達が「亡くなった猫からメールが来た」とい言い張る話や、嫁入り前に飼い猫が「嫁に行くのが悲しくて悲しくて自殺した」話など。
私もそんなに猫に愛される猫人(ねこんちゅ)になりたい!
「不思議を不思議のままで終わらせられる、それが怪談の魅力」と語る無類の怪談好きミステリ作家が贈る実話怪談短篇集の第二弾。踏切で遭遇した老女の手を握る奇怪な少女とは(踏切と少女)、病院に響き渡る声の主は?(アコが来たぞ!)、愛猫が急死した意外なワケ(猫が死んだ理由)など、日常のすぐ隣にある怪異を描いた奇妙な実話63篇を収録。
タイトルと表紙が素晴らしい。
大好きだったせなけいこさん、今年の10月にお亡くなりになっていたらしい。
この人の絵本を子どものために何度読んだでしょう。ありがとうございました。
合掌。