iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「笑うマトリョーシカ」若き官房長官は傀儡なのか?

初読みの作家、早見和真の「笑うマトリョーシカ」を読んだ。

 

今までにあまり読んだことのないジャンル(政治とジャーナリズム)の話だったが、とっつきにくいなんてこともなく一気に読んだ。

 

物語は若くして官房長官にまで上り詰めた「清家一郎」という男は果たして何者なのか?と疑問が膨らんでいくサスペンスだ。

 

国民に絶大な人気を誇るこの代議士はもしかして、「自分がない」誰かの操り人形なのでは?

新聞記者(後に謎をおいかけるためライターになる)道下はそんな疑問を持つ。

彼を操っている裏の人物はだれだ?

それは高校生からの親友である秘書の鈴木かと思われた。

いや、彼では素直すぎる。ではあの妖艶な母親か?いやいや大学の時に知り合ったあの怪しい彼女か・・・怪しそうな人物が現れては消えていく。

 

最初は、疑いを書けられる当の本人「清家一郎」の視点から始まるのだが、徐々に「高校時代からの友人鈴木の視点、ライター道下の視点、と入れ替わりながら進んでゆく。

 

この小説のテクニカルなところは、物語が進むにしたがって登場人物も増えてゆくし、語り部も増えていくのに、清家一郎の語りパートが減ってゆくところ。

 

清家一郎とは一体どんな人間なのか、

彼は操られたままこの国の首相になろうとしている。止めなければ!!

 

とここまで盛り上がってきたのに最後はなんと!

そんな人物はいなかった。あえて言うのであれば清家一郎自体が、その影のフィクサーだったの(のか?それともやはり?)

・・・・というオチになるのだが申し訳ないよちょっとネタバレかもしれないかもしれない。

 

ワタシ的にはあまり馴染みのない、政界での隠された闘争を題材にしているのかなーと思っていたが、むしろ志に燃えている高校生が真面目に政治家になりたいと頑張っているところに好感を覚えた。

政治家はみな裏で悪いことをしていて、陰謀は渦巻き、影のフィクサーが幅を聞かせている。・・・訳ではないのかもしれない。

 

ただ最後の清家の「僕を見くびるな」という執念深すぎる独白に、やっぱりこいつを首相にしたらいけないのではないか、とは思ったけど。

 

ドラマにしたらすごく人気がでそうって思っていたら、

TBS系列 金曜ドラマ 2024年夏スタート「笑うマトリョーシカ
主演:水川あさみ / 玉山鉄二 櫻井翔とあったのですでにドラマ化されていたようだ。方法、玉山鉄二が清家をしたのかな?

 

 

読書ってこんな感じでいろんな世界広げてくれるから、あんまり記憶に残らないことを気にせずこれからも続けていきたいと思う。(そう思った敬老の日)。

これからは敬ったらいいのか、敬われ側なのかだんだんわかりかねる歳になるけれども。

 

私も両親のためになにかプレゼントをしないとなーとテレビを見ていたら、インタビューで白髪のおばあ様方が欲しいもの?現金、現金、現金しかないわよっ!て元気に答えていた。

 

【TBS 系列 金曜ドラマ 放送! 2024年夏スタート】

47歳で若き官房長官となり、総理への階段を駆け上がる男は、周囲を魅了する輝きを放っていた。
「彼が誰かの操り人形だったら?」
そう感じた女性記者が、背景を探ると、関係者の不審死、同級生の秘書や家族らの怪しい関係性が浮上し――。代議士を操ろうとする人物は誰なのか? 

 

次に読みたい本

作中で、清家と鈴木が一緒に観る映画。見終わった清家は感極まって大号泣する。

たしか高校の授業で映画を見たし、原作も読んだような気がするけど殆ど覚えていない。砂でできた器のようにすぐに壊れる、虚しい。っていう内容と見た!

 

砂の器(上下)合本版(新潮文庫)