iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に忘れっぽい私の読書録。最近はもっぱらAudibleで聞く読書

「宙わたる教室」知識が人を助ける瞬間

ドラマ化などで話題作の伊与原 新の「宙わたる教室」を読んだ。

 

様々な事情を持つ生徒たちが集まる定時制高校。その科学部でで繰り広げられる青春小説。

キーとなる人物は科学部顧問の藤竹先生。

大学の研究室にも属しているちょっとミステリアスな人物だが、彼は教師として教育をするためと言うよりも自分の信じる正しい科学のあり方を証明するために、定時制高校に科学部を作ったのだ。

 

一人ひとり有望な生徒を科学部にスカウトしてくるのだが、まずはディスレクシア(識字障害)のせいで落ちこぼれて不良街道まっしぐらの岳人。

 

本人も気づいていなかった障害を見抜いた藤竹は自分の頭が不良品だと自暴自棄になっていた岳人に学びの喜びに気づかせる。

 

知らなかったのだが、識字障害の人にも読めるように工夫したフォントというものがあるらしい。

 

タブレットでそのフォントに変換した教科書を使うとこでいままでどうしても読めなかった教科書が読めるようになるシーンは静かに感動を覚えた。

 

もっと早く気づいてあげられていたらとも可哀想に思うが、しかし知識は人を助けるという気づきをえた。

 

ご存知ですか? 発達障害でも見やすい「UDフォント」の特徴と活用例 | 障がい者としごとマガジン

 

次のターゲットはリストカットや、過呼吸などの問題を抱えて保健室登校の佳純。

彼女はSF小説の大ファンで作中「アンディ・ウィアーの火星の人」になぞらえてひっそりとメモを残してた。

そのメモを読んだ藤竹は彼女に火星探査機オポチュニティの撮影した一枚の写真を見せる。オポチュニティ自身の残した轍(わだち)の写真だ。

このシーンもムネアツ。

というか、「火星の人」めっちゃ面白かったもんな!と思い出し興奮もした。

 

ichi-z.com

定時制高校だからこその年齢差や生い立ちコンプレックスなどさまざまなメンバーとともに、一つのプロジェエクトを成し遂げる彼らの輝きにムネアツ。

 

良い小説だった。

 

宙わたる教室 (文春e-book)

窪田正孝が藤竹先生役でドラマ化しているみたい。

宙わたる教室

定時制高校の教室に「火星」を作り出す――胸が熱くなる青春科学小説

東京・新宿にある都立高校の定時制
そこにはさまざまな事情を抱えた生徒たちが通っていた。

負のスパイラルから抜け出せない二十一歳の岳人。
子ども時代に学校に通えなかったアンジェラ。
起立性調節障害不登校になり、定時制に進学した佳純。
中学を出てすぐ東京で集団就職した七十代の長嶺。

「もう一度学校に通いたい」という思いのもとに集った生徒たちは、
理科教師の藤竹を顧問として科学部を結成し、
学会で発表することを目標に、
「火星のクレーター」を再現する実験を始める――。

『月まで三キロ』『八月の銀の雪』著者がおくる、
今年一番熱い青春科学小説!

次に読みたい本

飛ぶ教室 (ポプラ世界名作童話 20)

実はタイトルだけであらすじも知らない・・・