森功の「地面師」を読んだ。
ほんとにこんな話あるの?え?ドラマじゃなくてノンフィクションだよね?
と耳を疑う話だった。
最近私の会社では異常に地面師が流行っている。
どうやらネットフィリックスでドラマがあってるみたいで、面白くて一気に観た派と観ると落ち込むのでやめちゃった派に分かれているようだ。
無派閥でドラマを見る気がなかった私だが、ノンフィクションならと思い読んでみた。
いや、おもしろいとはちょっと違う。驚きの連続だった。
戦後、東京や大阪等の大都市では空襲で一家全員死亡することも珍しくなかった。
登記などが収められている役所も焼失している。
そんなよくわかんない状態の土地を勝手に占拠して、自分の土地にする無法な野郎どもを地面師と読んでいたらしい。
この土地のだまし取り、なんと70年近く経った現在でもやり口を変化させながら暗躍しているらしい。
しかもその手法はなんで騙されるの?と思うような意外と単純な「地主になりすます」という方法。
土地という高い買い物をするときにいろいろな書類が取り交わされる。
だが、眼の前の人物が本当の地主かどうかはパスポートや免許などで確認するしかない。
これらの偽造はそんなに簡単ではないが、それを専門医作る犯罪者もいるくらいで、とにかく、地面師たちは「役者」に「偽造書類」を持たせて契約をし、お金が振り込まれた途端、引き出してドロンだ。
いくつかの地面師の詐欺が紹介されていたが、被害者は全て「親族との関わりが薄い」という特徴がある。まあ、それは当たり前といえば当たり前か・・・
たとえば「地主で素封家の娘」として生きてきた女性がたくさんの土地を持っていながら身を持ち崩す様子が哀れだった。
土地を持っていても、その土地を活かすために何かをする気力がなったのか、最後には生活費にこまってホームレスのような状態で失踪し、挙げ句の果てには軒先で白骨化した遺体で見つかるという・・・お金が人を幸せにしなかった一例なのかな。
地面師はそんな彼女になりすまし、土地を勝手に売却してしまった。
そして、その土地を購入した人ば善意の第三者なのに、実際には土地は自分のものにはなっいない、大変微妙な状態らしい。
地主も購入者もどちらも被害者という。
中でも大手企業の積水ハウスの事件がおもしろかった。
どうして騙されちゃったの!!と逆にびっくりするようなお粗末さなのだ。
※積水ハウス地面師詐欺事件(せきすいハウスじめんしさぎじけん)は、2017年6月1日に、積水ハウスが地面師グループに土地の購入代金として55億5千万円を騙し取られた事件
地主の高齢女性になりすまし、パスポートなどを偽造して都内の土地を勝手に売却するのだが、まず本物の地主は身寄りが少なく(ほぼ交流のない異母弟がいたけど)末期がんで入院中だ。
55億円のお金を動かすのに、こんなに杜撰になれるものかねー
端から全く疑っていないピュアピュア天使ちゃん達だったのかな?
いや違うね、多分欲の皮が突っ張ってたんだと思う。
いくら地主になりすましても隣近所の知り合いには通じないのだがら、ちょっと確認すればわかることなのに。
(実際何回か「この人は地主に間違いないですか?」と町内の人は尋ねられたという。積水ハウス以外の業者は、ちゃんと確認して詐欺に気づいたのだ)
(というか、そんな詐欺があるってわかっても通報しないんだね)
しかも!積水ハウスには「その地主は偽物だ」という内容証明が何通も送られてきているのである。
それを「怪文書」と判断して「土地の売買を妨害する競争企業がいる」と考えた積水は、あろうことが契約を1ヶ月以上も前だおししてしまうのだ。
もちろん騙すほうが悪いに決まっているんだけど、ここは言わせてもらおう。
なんでおそんなに愚かか。
しかもこれが原因で、社長派と会長派のお家騒動に発展。そうなるとなんか裏読みもしたくなるよねーーこわいこわい。
全国の不動産関係者、デベロッパー社員必読。積水ハウス、アパグループ…不動産のプロがコロッと騙された複雑で巧妙すぎるその手口。
日本中で「地面師」という詐欺師集団が跋扈している。彼らは不動産の持ち主になりすまし、勝手に不動産を転売して大儲けするのだ。騙されるのは、デベロッパーや不動産業者などの「プロ」たち。被害者の中には信じられないような大手も含まれる。あの積水ハウスが70億円、アパグループも12億円を騙し取られている。名だたるプロがコロッと騙される地面師の手口は巧妙で複雑。その内実を知るしか、詐欺から身を守る方法はない。
久しぶりにノンフィクション読んでおもしろかった!
こういう時間がかかる取材をして世に出してくれるってありがたい。
次に読みたい本
そういうことか!?そうなのか?陰謀の渦巻く世界なのか?