iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

「ヒトコブラクダ層戦争」

万城目学の「ヒトコブラクダ層戦争」を読んだ。

 

不思議な力を持った三つ子の兄弟「梵天、梵地、梵人」が主人公の長編小説だ。

 

ぼんてん、ぼんち、ぼんどと読むこの三兄弟の仲の良さがとても印象的で、読んでいていやーエモいわーとニヤける。

 

案の定Audibleで読んでもらったのだが、ナレーターの人が彼らのキャラクターを上手に演じ分けていて、誰が話しているかすぐわかる。

ナレーターさんの技量の素晴らしさもあるだろうが、小説内の3人が生き生きとしていて、それぞれが個性的でおもしろい。

 

兄弟はそれぞれ、上から順に天地人と名前がつけられていて、長兄(と言っても三つ子なので同じ年だけど)の「梵天」は、頑固ながら責任感が強く、中卒で働いて弟たちを進学させる。3人の中でなぜか父親のような立ち位置。

次男の「梵地」は成績優秀な秀才タイプで考古学者を目指して大学院で勉強中だ。

三男の「梵人」は運動神経抜群でスポーツ推薦で進学するも、膝の故障で選手生命を絶たれ、生きることに膿んでいた。

 

そんなバラバラの三人には、それぞれ三秒と名付けられた超能力があった。

ただし、3秒先が見えるとか3秒間だけ透視能力が使える、といったかなり使いづらい能力だ。その能力を使ってあるミッションを託されるのだが、そのミッションがいまいち壮大過ぎて全く意味がわからない3人。

 

知らないうちに、自衛隊に入隊させられて訓練されてイラク派遣隊に入れられる。

あれよあれよで、三人とも誘拐され誘拐された先で大冒険を・・・という、自分で書いててこれじゃイマイチわからないだろうと思う。

もう読んでくれとしか言いようが無い。

長いけどな!!

実は物語が長大すぎて、正直なところ途中で少し飽きてしまう部分もあった。

 

しかし、それを補って余りあるほど、兄弟の冒険の振れ幅が大きいというかなんというか。

 

ジャンルとしてはタイムトラベルSFなのか、壮大なファンタジーなのか、一言では表現しきれない。これが有名な万城目ワールドというやつか。

 

物語に登場する銀亀さんという女性隊員も見逃せない。彼女は非常に優秀で、物語を通じて多くの場面で活躍する。特に最後に梵人といい感じになるシーンは、読んでいて微笑ましい。

 

総じてその長さに少し疲れを感じる部分もあるかもしれないが(Audibleのファイル数は4だ。朗読時間が10時間を超えるとファイルが分かれるようなので、おそらく30時間は超えていると思われる)キャラの魅力とスケールのでかい最後まで楽しむことができる作品だ。

 

榎土梵天、梵地、梵人は三つ子の三兄弟。自分たちが謎の能力「三秒」を持つことに気づ
き、貴金属泥棒を敢行。大金を手にした梵天は、ティラノサウルスの化石発掘の夢を抱き
山を丸ごと購入した。だが、そこにライオンを連れた謎の女が現れたとき、彼らの運命は
急転する。海を越え、はるか砂漠の地にて、三兄弟を待ち構える予測不能の超展開とは!?

自衛隊PKO部隊の一員としてイラクに派遣された榎土三兄弟。彼らの前に姿を現す、か
つてメソポタミア文明が栄えた砂漠の地の底に潜む巨大な秘密、そして絶体絶命の大ピン
チ。恐怖の襲撃者から逃れつつ、三兄弟はすべての謎を解き明かすべく戦い続ける。驚愕
のラストまで一気読みの面白さ。アクションあり神話ありの超弩級スペクタクル巨編!

 

 

次に読みたい本

物語の中にはシュメール文明というのが大きなキーワードとして入ってくる。

謎多き解明されていない文明?という感じで(こういう時教養大事っておもうね、おもしろがれないもの)

 

シュメール星人(1)

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