ポップな表紙が気になる万城目学の「あの子とQ」を読んだ。
吸血鬼少女の青春物語だ。
弓子はまだ恋もしらないキラキラな高校2年生。どこにでもいる彼女は・・・と言いたいところだが実は吸血鬼の両親の元に大切に育てられた吸血鬼少女なのだ。
だが、最近の吸血鬼は皆が知るドラキュラように、太陽のもとにはでられず、十字架やにんにくを恐れ、人間の血を吸い永遠のいのちを持つ、なんてオールドスタイルはかなぐり捨てて人間とほぼ同化して生きている。
牙も(あるけど)出さないし、太陽の光もしっかり防御すればなんとかなる。
歳も取るし、何より血を吸うことがない。
17歳の誕生日に吸血鬼を人間化する儀式があるのだが、その前の10日間見張りとしてやってきたQは大型のウニのようなけったいなもの。
弓子が血を吸わないか監視するというのだ。(血を吸ったことがある子は人間化できないのだ)
最初は化け物とよんでいたQと弓子はだんだん話すようになってきて、最後はQのために思い切った行動をとる。
いわゆる「カエルの王子様」現象(蛙化現象の逆?)醜いと思っていたQの正体は(多分かっこいい)青年だった。弓子、忘れちゃうんだけどね。
それにしても、吸血鬼の青春ストーリーなんてさすがなシュチュエーション!
万城目学節の炸裂で面白かった。どなたかのレビューに、面白疲れしたというフレーズがあったが、ホント、振り幅大きくてイッキ読みの小説です。
(いいね、面白疲れ)
恋アリ・青春アリ・吸血鬼アリ!? 嵐野弓子、17歳の大冒険!
普段は吸血鬼であることを意識せず過ごす高校生・嵐野弓子の前に突然現れたトゲトゲのばけもの。「Q」と名乗るそいつは、弓子が人の血を吸わないか監視しにきたという。でも、考えてみ? 人間社会に溶け込む現代の吸血鬼が、血を吸うなんて絶対ない! だが、思いがけない事件が起こり――。ミラクルな展開が待ち受ける、青春×吸血鬼ストーリー!
友達のヨッちゃんとの会話が楽しい。本当にこの子達は令和の女子高生か?というくらい昭和っぽい。
大仏マスクを被っているとっても元気な女の子がヨッちゃん。いろいろ謎!
そうそう、ヨッちゃんが男子バレー部のキャプテンに一目惚れをするのだが、その告白の方法が振るっている。
突然話しかけても緊張して自分のことをうまく紹介できるかわからない(うん、かわいいね、ここまでは)ので、自己紹介動画をYoutubeに限定公開して、そのQRコードが印刷された紙を渡す・・・というもの。
最高か!
結局この方法はうまく行かないのだが、(そりゃそうだ)ずっとそのテンションで、ヨッちゃんみてたら何か大抵のことはなんくるないと言いたくなる。
吸血鬼の青春ストーリーは、最後に恋の始まりを感じさせるエモいエンディングでした。
次に読みたい本
あの子はQを検索したらこれがでてきた。
なんにもできないけど消えるんだよ~
いいなーQちゃん。いつも失敗ばっかりしてたって消えることができるなら楽勝じゃん。