大和浩則の「噛む老人」を読んだ。
第17回ミステリーズ!新人賞受賞作らしく、それを聞いて読んでいるせいか、なんだか初々しい感じがしてよかった。ページ数も少なく、とても読みやい一冊。
最近ずっと万城目学の長編をよんでいるのでこのシンプルさが心地よく、次回作も読んでみたいと思った。
でも、ミステリーにシンプルは悪口かしら?
穏やかでもの静かな老人。アルツハイマー型認知症を患い、デイサービスで介助を受けている彼が、ある日ひとりのヘルパーの腕に噛みついて怪我を負わせる。事情を訊こうにも本人との会話は能わず、当のヘルパーも周囲の証言でも事故発生時に不審な挙動は見受けられない。もの言えぬながらも温厚な老人は、なぜヘルパーに噛みついたのか――市役所の介護福祉課の職員を務める青年・小紀(このり)は、単身調査することになる。日常に起こりうる出来事の底に潜む悪意を丁寧な筆致と構成で一編の謎解きに昇華させて、選考委員からも高い評価を集めた第17回ミステリーズ!新人賞受賞作。
ただ、犯人に当たる登場人物が最初から明らかに「感じ悪い」のでそういう意味でのどんでん返しなどがないのだ。
更には、私ですら噛む老人が噛んだ理由も薄々わかってしまうので「ドンデンがえされたがりども」には少し物足りないかもしれない。
ただ、最後に全員を集めて犯人を追い詰めるところなどは胸がすくおもいがした。
あと、タイトルがちょっと怖いというかなんか食指が動かん感じ。(表紙のイラストが素敵なのでもったいない気がするなー)
以上、上から何様なコメントをたくさん書いてしまったが、最近読んだ中ではなかなかのあたりだった。
認知症については、認知症と一口に行ってもいくつかの病態や症状があることや、介護職に対する差別感情など知らなかった事がよく書かれていたし、伏線も全部回収された安心感もある。
これ、あれだわ。コナン君のアニメで前後編になっていない30分でスッキリ終わる回みたいな?あれ、思ったより早い!でも上手いこと犯人わかった、みたいな。
その後の作品がアマゾンで探せないないので、次回作もよみたいよーと2回書いておく。
次に読みたい本
うちの両親は今のところ健在なのだが、何回も何回も同じことを言い出したのでそう遠くない未来受け止めないといけないのだろうな。
こういう事は事前に学んでおいたほうがいいのはじゅうじゅう承知だけど、なんとなく後回しにしちゃう。
親の衰えに面と向かいたくないというのが1割と私だってヤバいぞという気持ちが2割、残りの7割はもっとおもしろい本読みたいしーという子供心だ。