柳川一の「三人書房」を読んだ。
若き日の江戸川乱歩がいくつかの謎を解き明かす連作ミステリー短編だ。
乱歩が弟二人といっしょに団子坂で「三人書房」という古本屋を営んでいるという設定。
最初は、乱歩の親友の井上くんの視点から語られる乱歩、その次は弟、その次は末弟、それからよく来店するお嬢さんの梅子、最後にはなぜか「高村光太郎」目線からの語り。
他にも宮武外骨や宮沢賢治など大正から明治初期に活躍した有名な人もたくさん出てくるので飽きない。
が、あまりにもコロコロ視点が変わるのでやや読みづらいし、なんだか唐突感も拭えない。
それにしても三人書房って素敵な名前。本当に兄弟で古本屋とかやっていたのかしらと思ってウィキペディアを調べてみたが、どうやらそんな楽しいことはやっていなかったみたい。ただ、「D坂の殺人事件」では古本屋が出てくるので、そこからヒントを得た事かもしれない。なーんだ。
でもまあ新人賞だしな、若いし、これから伸びるのだろうな、なんて上から目線の感想を書くつもりだったが、先程アマゾンの著者紹介を見て驚いた。
1952年茨城県生まれ。明治学院大学卒業。2021年、若き日の江戸川乱歩が開いた古書店を舞台にした「三人書房」で、第18回ミステリーズ!新人賞を最高齢の69歳で受賞。同作を連作化した『三人書房』で本格的デビュー、話題となる。
もう一度言おう。
新人賞を最高齢の69歳で受賞。
いや、頭が下がります。そうか、新人だから若いなんてぇのは私の思い上がりでした。
チャレンジをやめないって素晴らしいことだなぁ。
昔、大好きなマンガの「動物のお医者さん」で菱川さんが親に言われていたっけ「卒業が人より長くかかるなら、人より長く生きればいいじゃない」と。全くそうだわ。
そろそろ先が見えたかなと考え始めた50歳だがまだまだ精進したいと思います。
とりあえず、やりたいことをやるなら健康にも気をつけなければ。
なんだか本の内容より作者の年齢に感心しきりである。
つい最近、こんな本を出しているようだ。これはこれは私の大好きな匂いがするぞ。
次に読みたい本
作中、尊敬すべき人物として何度も宮武外骨が登場する。
危険人物だと本人は言ってますがねー