横溝正史 の「吸血蛾」を読んだ。
蚊じゃなくて蛾に血を吸われたらと思うと相当イヤである。
が、この話はそういう話ではない。
木箱のふたをこじあけた瞬間、思わず縫い子たちは後ずさりした。箱の中には、乳房をえぐりとられ、その血だまりに一匹の蛾を浮かべた若い女の死体が……。服飾界の女王として君臨する美人デザイナー浅茅文代。だが、突然アトリエに死体入りの木箱が送り込まれたのを手始めに、彼女の大事な専属モデルたちが次々と殺されていった。犯人の目的は何か? そして、灰色ずくめの服装で暗躍する無気味な狼男とは何者? 全編にあふれる怪奇とロマン、横溝正史の傑作長編推理!
おっと、ホントに吸血蛾いたわ・・・
今のところ、ロシア人の血を好むらしい。10年以上前の記事何で今もまだロシア人の字だけで我慢しているかはわからんが。
さて横溝正史の書いた吸血蛾は狼憑きの狼男の話。
一世を風靡している人気デザイナーを中心としてたくさんの人が死ぬ。
虹の会というモデルグループ、お姉系のアシスタント、ライバルに今のパパさん、昔の男。関係者が次々とやられたりやられなかったり。あたりまえだけど。
今回の金田一耕助は残念ながらいまいちパットしない。犯人は思いのほか狡猾で金田一耕助はどうしても後手後手になってしまう。
殺人は金田一の目を盗んで行われ続け、とうとう虹の会というモデルグループのほとんどが殺されてしまうし、しかも死体は足を切断されてもてあそばれてしまったりするのだ。
それにしても、犯人が一人ではないのがこの話のすごいところかなと思う。
あ、これから読む人ごめんなさい。感がいい人にとってはネタバレなので読んだ瞬間忘れてください。
悪い奴かと思えば意外といい奴だし、いい感じのキャラクターが実は犯人だったり、ヒロインかと思えば浅はかな女だったり。
大どんでん返しというより、矢継ぎ早の小でん返し?の波状攻撃。
それにしても、道化者として出てくるヒロさんとマーボーが新鮮。なんだか間抜けでかわいい役どころ。
ちなみに吸血蛾はモデルの一人が殺されたときに一緒に見つかるから。ただでさえ蛾はそんなに誰からも愛されるタイプの昆虫ではないのに「大きくえぐり取られた傷跡の血だまり浮いていた」りしたらもう最悪だと思う。ビジュアル的にあかん奴。
最後に、町の昆虫博士と呼ばれる人物が出てくるのだが
在野の昆虫博士とかそうとうかっこいいなーと思う。まあ、彼はみんなから変人扱いされているのだけど・・・
かなり前に映画化されているのを見つけた。この時代の女優さんはほんとキレイだよなー
華やかなランウェイの裏の話を読みたい方におすすめ!