iCHi's diary~本は読みたし、はかどらず~

主に読書録。読み終えた本がこのまま砂のように忘却の彼方に忘れ去られるのが申し訳ないので、書き留める。要は忘れっぽい読者の読書日記。

初の由利先生シリーズ「蝶々殺人事件」

横溝正史といえば金田一耕助だが、もう一人の探偵「由利先生」のシリーズを初めて読んだ。

蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)

蝶々殺人事件 「由利先生」シリーズ (角川文庫)

 

原さくら歌劇団の主宰者である原さくらが「蝶々夫人」の大阪公演を前に突然、姿を消した……。数日後、数多くの艶聞をまきちらし文字どおりプリマドンナとして君臨していたさくらの死体はバラと砂と共にコントラバスの中から発見された! 次々とおこる殺人事件にはどんな秘密が隠されているのだろうか。好評、金田一耕助ものに続く由利先生シリーズの第一弾! 表題作他「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」を収録。

 

簡単に比べると、金田一耕助は「貧相なもじゃもじゃ頭」でもなぜか妙な愛嬌があり憎めないタイプだが、由利先生は若いのに完全白髪で精悍な顔だち、とても人目をひく風貌とある。名前だって由利麟太郎だぜ。ゆりりん♡

 

つまり、かっこいい。

 

また、金田一の方は記録者は横溝正史その人で、成城の先生と呼ばれて話の中に出てくることもあるけど、完全にお話の外にいるときも多い。

 

一方由利先生の記録者は若き新聞記者、三津木俊助で、先生とバディを組んで一緒に事件を解決。

時には、危うく被害者になりかけ、これまた若かってイキがよくって、どうやらカッコいいのである。

 

どうやら、二人ともモテるタイプみたい。

先ほどウィキペディアで情報収集したところによると(便利な時代)由利先生は金田一耕助より前に創造されたキャラクターで、ほぼ同時期に本陣殺人事件を執筆していたらしい。

そういえば、この話金田一耕助のデビュー事件だったような。

 

また、クロフトの樽という作品を読み返しながら作品をまとめたとのこと。

コントラバスケースは樽代わり、ってことだろうなー。 

樽【新訳版】 (創元推理文庫)

樽【新訳版】 (創元推理文庫)

 

 

でも、一番うれしいのは等々力警部が出てくるところ。

なんだ~二つの世界はつながっているのね。

由利先生はかっこいいだけあって、事件の関係者のとある美女と結婚しちゃってたりして、これまた金田一耕助にはない感じの手の早さ。

事件の真相より、このことが一番びっくりしたがな。

 

 

表題作「蝶々殺人事件」のほかに「蜘蛛と百合」「薔薇と鬱金香」の二つの話も収録。

とくに、蜘蛛と百合が悲惨で、でも映像が目に浮かぶようで印象が深かった。

「薔薇と鬱金香」の方は、薔薇郎などというふざけた名前の色男が出てくる。鬱金香はチューリップの事なんだってさ。

変装したり、いったん死んでよみがえったり、ちょっとルール違反というか、乱歩先生っぽい話でもある。