有栖川有栖の「壁抜け男の謎」を読んだ。
みんな?大好きな火村英生は出てこない。
作者の異色短編集だ。もちろんミステリー多めだがシュールな話や「ミステリ作家が書く官能小説」なんかもある。
富豪の屋敷から名画が盗まれた。しかし屋敷内に作られた迷路の中に絵を残し、犯人だけが消失した!? (「壁抜け男の謎」)小説家に監禁された評論家。かつては酷評していたが、最近は誉めていたのに。なぜこんなことを? (「屈辱のかたち」)犯人当て小説から、敬愛する作家へのオマージュ、近未来小説、官能的な物語まで。色彩感豊かな「16」の物語が貴方を待つ。有栖川有栖の魅力を満載した、傑作作品集!
読了まで時間がかかってしまったのは、通勤がなくなり 、読書(というかキンドル読み上げ)時間が大幅に減ってしまったことと、どうしても火村先生が出てる時に比べて面食らう部分も多く、のめりこみにくかったからかも。
とは言え、短い話も多く16もの物語を読んだとは、まったく気づかないうちに読み終わっちゃった。
印象深いのは
「壁抜け男の謎」本当にそんな画家がいるのかと検索しようとしたら、あとがきに架空の画家ですと書かれていてこけた。
「恋人」は官能小説ということでちょっと今までにない有栖川有栖を堪能できる。歯、ですかー…ない後は夏目漱石の夢十夜を思い出した。
ただ、頭がミステリに侵されている私は「あれ?おわり?」ってなっちゃうけど。
それから、特筆すべきは横溝正史愛にあふれた下記の2編
「キンダイチ先生の推理」と「ミタテサツジン」
どちらもタイトルだけでにやりとしちゃうが、キンダイチ先生はもちろん現代の推理小説家で、錦田一(ニシキダハジメ)さんが、キンダイチとも読めるので、近所の中学生ファン金田耕一君に慕われているのだ。ね、どこまでもでしょ?
こういう、金田一愛が溢れた作品は大好きだ。
キンダイチ先生の推理は、真備町(横溝正史が疎開した町)への取材旅行のエピソードなんかもはいっていて、私もコロナ終わったらぜひ一度行ってみたい。
「金田一耕助」が誕生した町・岡山県真備町〜横溝文学の舞台へ | 岡山県 | LINEトラベルjp 旅行ガイド
1000人の金田一耕助コスプレも気になっている。
ちよっと、いやかなり見たい。
ミタテサツジンの方は、獄門島さながら美しい三姉妹を木に吊るしたり鐘の下に押し込んだりする話で
あるが、2人の犯人達の人間関係がなんかせつなくって、パロディだけで終わらせてないところがすごい。
そうそう。振り袖姿で裾を縛られてというやつです。なんだか嬉しそうだった。変態か、私。
いよいよゴールデンウイーク突入で、どこにもいけないから、金田一耕助読み直したり、少しでも積ん読したいとこですが、読書に飽きたら妄想旅行計画もおすすめ!
あ、壁抜け男はなんとkindle unlimitedでも読めます。