表紙がエロティシズム満載の横溝正史の「夜の黒豹」を読んだ。
キャーエッチ!な表紙。
現場に着いた金田一耕助は、思わずゾーッとした。断末魔の形相凄じく、ベッドに横たわる女の死体がそこに、そしてその乳房の間には、まるで生きているように無気味な、マジック・インキで描かれた一匹の青蜥蜴が! いかがわしいホテルで一人の娼婦が殺害された。犯人は、事件の前後に出没した全身黒ずくめの怪紳士か? だが、金田一が乗り出した直後、事件の鍵を握るホテルのベル・ボーイが重傷を負い、意識不明になってしまう……。本格推理の醍醐味を堪能させる傑作長編。
表紙のインパクトに負けない、エロ満載の本書。
エロ、といっても昭和の慎ましやかな表現なのだが、何しろバリエーションに富んでいるというか。
ちょっとネタバレになるので読む予定のある人は、すぐ忘れるか読み飛ばしてほしい。
まぁ、異母兄弟とか義理の母とかの関係があるかと思えば、ロリータ趣味、同性愛、死体と。などなどホントに網羅的に異常なのだ。
いや、この中にもいい人たちはいるんだけどね…
犯人は色仕掛けをしたり、アナグラムを駆使したり、伏線はりまくりのかなりの知能犯なんだけど、それを上回るほどのゲスなのである。
あまりにも犯人らしくなくて、大どんでん返しが起こるという点では素晴らしいミステリなのだ。
金田一耕助もいつもにも増して奮闘を強いられる。
表紙にもあるが殺された女性の両胸に描かれたトカゲが気持ち悪い。
青いマジックで描かれているらしいのだが、こんな殺され方は嫌すぎる!
なぜ青いトカゲなのかには深い意味があるんだけども黒豹は?
犯人はまるで猫のように、いろんな人に証言されているのに。
ま、黒猫じゃ雰囲気出ないからいっか!
しばらく金田一耕助シリーズのジュブナイルを読んでいたので、やっと大人の世界に戻ってきた感じ。
ただただ犯人の人でなしっぷりに呆れるけれど、ミステリーとしては上質のおもしろさ。
大人のあなたにオススメ!