横溝正史の「双生児は囁く」を読んだ。
残念ながら表紙は杉本一文ではない。どういうチョイスなんだろう?
真鍮で作られた檻の中に飾られた真珠の首飾りは、「人魚の涙」と呼ばれ、デパートで展示されていた。ところが平日の昼すぎ、数名の客の前で、「人魚の涙」の番をしていた男が殺され、また首飾りを持ち去った女も奇妙な死を遂げてしまう。幾重にも絡んだ謎を解き明かすのは――。表題作ほか、名探偵・金田一耕助を生み出したミステリの巨匠・横溝正史が遺した短篇。汁粉屋の娘/三年の命/怪犯人/空家の怪死体/蟹/心/双生児は囁く/を収録。
「汁粉屋の娘」「三年の命」「空家の怪死体」「怪犯人」「蟹」「心」「双生児は囁く」の7編からなる短編集。
正直最初の汁粉屋の娘には、まるで講談の因縁話で、ミステリーという感じではなかった。戦前の文化は味わえたが。
しかし、双生児は囁くは何となく続編を期待(いや、横溝先生鬼籍に入られてる!)してしまう。
とはいえ、この話双生児はなんだか人を食ったような二人で、囁くけど実は重要人物ではない。
双生児でタップダンサーなのだけど、もうそれだけでかなりのキャラ立ち。
双生児探偵として誰か続編を書いてくれないかしら。
そうそう、この話を読みながらずっと思い描いていたのはこの漫画
今気が付いたけど、あのぶっ飛びコミック「坂本ですが?」を書いた人だわ。
「蟹」はあの「悪〇島」の例の双子とよく似ている。
伏字にするほどネタバレでもない気もするけど、一応。
横溝先生の好みのが色濃く表れた一冊。
金田一耕助は出てこないけど、ただいまkindleunlimidなので横溝ルーツを知りたい方はぜひ。