加村一馬の「洞窟オジさん」を読んだ。
いっとき前話題になって、NHKでリリー・フランキー主演でドラマ化されたのでご存じの方も多いかも。
加村さん、多分すごく人好きがするタイプなんじゃないなかなと推察する。
だって、全然知らないオフロに入っていない中年男性なのに、ちょいちょいいろんな人に気に入られているのがわかるのだ。
8人兄弟で「俺だけ親に虐待されていた」という発言は、疑うわけではないが最初は子どもの思い込みかと思った。
だが、お弁当の内容が違ったり自分だけおかずがなかったりと、どうやら本当に一人の子供だけ虐待をしていたらしく、加村さんも振り返って
「今になっては理由を聞いてみたいような気もするけど、やっぱり知りたくないね」
重い!これが、ノンフィクションの力だよね。
私達は腹落ちしたくて理由を求めるけど、わからないものはわからない。特にもう両親もなくなってしまった今では。
多分加村さんずっとこのことを考えながらこれからも生きていくのだと思う。
両親の虐待を苦にして13歳で家出した彼は、都会に出るのではなく山の中の洞窟にねぐらをきめて生活をはじめる。
過酷なサバイバル生活は想像以上で、ヘビの生き血のすすり方とかカブトムシの幼虫はミルキーでおいしいとか、ちょっとレベルが違いすぎて真似することはできない。が、聞いている分にはとてもおもしろい。
特に、彼がつくる鳥の仕掛けがすごくってのサイトを見てほしい。
本を読んでいただけではなかなか理解できてなかったが、加村さんが実際に鳥の仕掛けを動かすところが動画で出てくる。
一緒に家出したシロの死をきっかけに洞窟をでて放浪生活をはじめた加村少年。
お金の使い方やトイレの使い方を知らずになかなか現代の生活に馴染目ないまま40年以上放浪を続けていたが、今では天使のような女性と知り合ってようやく定住生活を続けている。
この年下の彼女のことを母親のように慕う加村さんはかわいい。変に下心がないところが可愛い。
ちなみに、現代社会に溶け込めなくていろんな失敗をする話は申し訳ないけどとても面白い。ユーモアがあって賢い人だな。
高度成長期もバブル期も知らずに山で暮らしていた加山さんは今「子どもたちにいざというときのためのサバイバル術を教えたい」と思っているそう。
ただ、いきなり弓矢でイノシシを取る方法とか教えようとして周りがドン引きだったみたいな話があって、やっぱり根底にはユーモアがあるのだ。
次に読みたい本
ゴルゴ13の人が描くサバイバル。
随分前に読んだのでほとんど内容忘れたけど中学生が訳あってやはりサバイバル生活をしなくてはいけなくなる話だ。「こんな生活を続けていると毎日1回排便することが娯楽になる」ってエピソードだけは忘れられない。

